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2024.01.26 12:00

映画「哀れなるものたち」で大胆な演技を披露 エマ・ストーンの女優魂

田中友梨
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マックスは美しいベラに心を奪われ、純粋無垢な彼女にさまざまな知識を与えようとする。ゴッドウィンの屋敷のなかで急速に知性を高めていくベラだったが、それにつれてより広い世界を知りたいという欲求が芽生えていく。

娘のようなベラを手元に置いておきたいゴッドウィンは、マックスに彼女との結婚を勧め、法的手続きを弁護士のダンカン・ウェダバーン(マーク・ラファロ)に依頼する。しかし、ひと目でベラを気に入った放蕩者のダンカンは、自分と一緒に旅に出ようとベラを誘惑する。

「世界を自分の目で見たい」というベラの要望に抗しきれず、ゴッドウィンは渋々ベラを送り出す。

左から、ベラ役を演じるエマ・ストーン、ダンカン・ウェダバーン役を演じるマーク・ラファロ(c)2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

この後、ベラとダンカンは船に乗り、リスボンやエジプトのアレクサンドリアを訪れるが、そこで彼女は新たな世界に触れて、日々成長を重ねていく。それとともに何の制約を受けることなく、女性として性的にも発展を遂げていくのだった。

残念ながら、日本では公開に際してその過激な性的表現によりR-18指定となってしまったが、それほどヨルゴス・ランティモス監督が展開する映像は衝撃的だ。原作小説とは異なり、ベラを主人公として描かれる物語は、どこに辿り着くのか観ていてとてもスリリングだ。

ゼロの状態から出発したがゆえにあらゆる軛(くびき)から解き放たれて、自らの意志で運命を切り拓いていく主人公の行動には、胸のすく思いがする。時代設定は曖昧にされており、それゆえに映像巧者のランティモス監督は、この破天荒な冒険物語を、さまざまな表現を駆使して自由闊達な作品に結実させている。
(c)2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

「ラ・ラ・ランド」のイメージを一新

アカデミー賞の主演女優賞にもノミネートされているエマ・ストーンの身体を張った大胆な演技も「哀れなるものたち」の見どころの1つだ。

エマは、最近では全米の長寿番組「サタデー・ナイト・ライブ」で放送された「Naked in New York City」というミュージカルに登場し、全裸で歌いながらゴミ収集車に乗る姿を披露している。
(c)2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

デミアン・チャゼル監督の「ラ・ラ・ランド」(2016年)では愛らしいヒロインを演じて、アカデミー主演女優賞に輝いたエマなので、そのイメージを一新する役だったが、視聴者からの評価は高く、女優としての幅の広さを印象付けたようだ。
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文=稲垣伸寿

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