国内

2024.01.09 13:15

JAL衝突事故の「小さな犠牲者」。どうなるペットの同伴搭乗?

スターフライヤーの「FLY WITH PET!」、一匹5万円で──

実は、ペット同伴の搭乗が可能な航空会社は日本にもすでにある。「FLY WITH PET!」を提供するスターフライヤーである。

このプランの利用者は一匹につき5万円を支払い、最後列窓側の席、おむつの着用や、狂犬病ワクチンと混合ワクチンの接種など様々な規定と制約があるが、ペットの様子を飼い主が随時隣で確認できるというのは大きなメリットであろう。

このプランは、現在は羽田(東京)と北九州を結ぶ便のみでの利用となるが、2024年1月15日から国内線全路線・全便にサービス拡大予定である。しかし、このスターフライヤーのプランをもってしても、緊急時にはペットは持ち出せないことになっている。

しかし反対意見も

以上の現状を踏まえ、前述のように「ペットは貨物、災害があったら持ち出してはいけないというのは時代錯誤ではないか」という意見もあるが、一方ではペットの同伴搭乗に反対する意見も当然ある。

1つ目は、搭乗者の中には「動物アレルギー」だったり、「動物恐怖症」であったりする人も含まれている可能性があるという意見だ。

特に、動物アレルギーは目が痒くなる程度で収まればよいが、ひどい場合には呼吸困難などを伴うアナフィラキシーショックを引き起こし、死亡する例まである。

またアレルギーというのは、それまではまったく症状がなくても急に発症する場合がある、という事実も忘れてはならない。実際に、筆者の妹も猫カフェで急に猫アレルギーを引き起こし、呼吸困難に陥ったことがある。

2つ目は、緊急時に「ペットだけは」持ち出してよいという例外をつくってはならないという意見である。そもそも緊急時に所持品を持ち出してはいけないのは、緊急脱出用のシューターの破損を防ぐため、スムーズな脱出を行うためという明確な理由がある。

ペットは飼い主にとって何ものにも代えがたい大切なものであるが、大切なものは人それぞれ異なり、同時にそれぞれ存在するのも真実だ。例えば、人によっては、それは長年愛用してきた楽器であったり、重要なデータの詰まったパソコンであったりする。ひとつ例外をつくると収拾がつかなくなり、脱出の妨げを引き起こす可能性を排除できなくなるかもしれない。

ペットを飼っている筆者からすると、同伴搭乗を求める人々の気持ちは十二分に理解できる。しかし、少なくとも今のところは「どうしても空路」の事情がない限り、ペットを連れての旅は飛行機以外の公共交通機関の利用をも視野に入れる、を考えてみてもよいかもしれない。





文=大石月子(Forbes JAPANスチューデント・エディター、慶應義塾大学3年生。家族で飼っている犬はキャバリアの「エルちゃん」)

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