AI

2023.12.30

AIに酒造り事業について訊いてみた

プレスリリースより

日本酒の製造工程をサステナブルにするにはどうしたらいいか。新規事業開発に特化した生成AIが日本酒造りにつながる意外な科学分野を探索し、酒造の副産物を活用した提案を行ったところ、日本酒メーカー単独では見落としていたかもしれない新たな可能性が開けた。

科学分野の調査研究や新規事業開拓をAIで支援するMEMORY LABは、新潟県中魚沼郡の醸造会社、津南醸造と協力して、日本酒をサステナブルな産業にするための、日本酒造りと持続可能性を両立させる研究開発分野の探索を行った。普通なら、まずは論文のデータベースを片っ端から調べることになるが、これは大変に時間と根気がいる作業だ。しかも、まったく新しい可能性を求めるならば、その会社にはいない、まったく別分野の専門家の力が必要になる。どれだけの人に声をかけたらいいのか、考えるだけでも気が遠くなる。

そこでMEMORY LABは、AIによる学術論文の検索で、短時間に的確な情報を抽出できるようにした。論文を手探りするだけでは見落としかねない貴重な情報も「研究領域の相互関係と市場応用の可能性を網羅的に可視化」によって拾い上げてくれるというのだ。

そうして見つかったのが、日本酒造りの副産物である酒粕の利用だ。栄養価の高い酒粕を家畜の飼料に使うと、飼料の持続可能性が向上し環境負荷も低減されるという。さらに、酒粕に含まれる成分がエイジング抑制や脳機能の活性化を促すという研究報告を参考に、健康食品や医薬品分野への応用が示唆された。

MEMORY LABは「膨大な論文情報、特許情報、市場情報を独自のデータベースに搭載」して、通常なら半年から1年はかかる調査を最短1週間で行うとしている。日本の伝統産業には、これまで誰も気づかなかった分野との科学的なつながりがまだまだあるはずだ。今回発見されたような革新的なシナジーを、AIがどんどん見つけ出してくれることだろう。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事