自主規制やスポンサー減による製作費の減少など、逆風が吹き荒れる中で、テレビマンはどうやって番組を作っているのか?
「若者のテレビ離れ」がささやかれるなど、時代についていけない印象のテレビがこの先「アップデート」していくためにはどうしていけばよいのか?
……などなど、みんなうすうす感じているアノ裏コノ裏をオープンにした1冊が発売となりました。
タイトルはその名も『腐ったテレビに誰がした?』。
元テレビ局員で業界に身を置く著者が、辛口かつ赤裸々に、内部事情を明かしながら、テレビがこの先も生き残っていくための提言を記した、「愛のある悪口」本です。
[番組の病巣][制作の闇][人材の裏側][周辺の実情][放送の壁]の5つのジャンルについて、下記のような見出しで紹介しています。
テレビマンが書いたテレビの悪口です。
ただし、愛のある。
世の中にテレビの悪口を書いた本はたくさんあります。でもそのほとんどはテレビマンによって書かれたものではありません。
私たちテレビマンからすると、その悪口はだいたい的が外れています。テレビの制作現場を知らない人が書いているから、なんか違うんだけど? という内容が多いのです。
そして、テレビマンが書いたテレビの悪口の本はあまりありません。この先の仕事に影響するので、なかなか書けないのです。
でも、いま必要なのは後者の本だと思うのです。
ご存知のとおり、いまテレビは「オワコン」だと言われています。
テレビ業界全体がなんとなく意気消沈していて、みんなヤル気を失いかけています。
若者のテレビ離れや、広告媒体としてのテレビの地盤沈下が語られて久しいです。
「テレビはつまらなくなった」というフレーズも、聞き飽きるほど聞かされています。
そんなテレビ業界は、いまこそ古い体質から脱却して新しく生まれ変わらなければなりません。どこが悪いのか? なぜつまらなくなったのか? をちゃんと考えて反省するべきです。そのためにはまず、テレビ業界のどこがおかしいのかを、しっかり業界内部から情報開示すべきだと思います。
でも、テレビ局は、他人の情報を伝えるのは上手なのに、自分たちの情報を伝えるのはとても苦手です。他人の批判はどんどんするくせに、自分たちが問題を起こしたときにはなかなか情報公開しませんし、謝ることも少ない。
これじゃダメなんです。
内部の誰かがしっかりとテレビの悪口を言わなければいけません。
私はけっして優秀な「スーパーテレビマン」ではありません。
でも、かれこれ30年近く、いろいろな番組の制作現場でディレクターやプロデューサーをやってきました。25年以上、テレビ朝日で局員をしましたし、ABEMAというインターネットテレビ局の立ち上げも経験しました。遅ればせながら50歳で独立し、現在ではフリーランスとして番組やネット動画を制作しています。放送局の子会社である番組制作会社のプロデューサーも経験しています。
優秀とは言えないなりに、けっこういろいろな「立ち位置」でテレビ業界の現場を経験してきたという自負はあります。それなりに現場の事情通になっているはずです。
私はテレビ局のOBですから、悪口を堂々と書いても平気な立場にいます。まあそれなりに仕事はありますから、悪口を書いて干されるのは別に怖くありません。
そんな私だからこそ、テレビの悪口を書くしかないじゃないですか? そして世間のみなさんに「赤裸々なテレビ業界の内部事情」を情報開示するしかないですよね。
この本を読んで、「あーなるほど、テレビのココが問題なんだ」と納得していただけたら、テレビが現在の世の中に合うように「アップデート」する意識改革のあと押しをしていただけませんか? つまり、テレビ局への意見投稿です。視聴者のみなさんからどんどん指摘が来れば、テレビ局も変わらざるを得ないと思うんです。
テレビマンである私が願うことは、2つしかありません。
1つは、テレビがこの先もみなさんのお役に立ち、喜んでもらえること。
2つめは、私の後輩のテレビマンたちが、楽しく番組をつくり続けられて、ハッピーなテレビマン人生を送れること。
だから私はこの本を書こうと決意したのです。
愛する後輩たちと視聴者のみなさんに向けて。
「愛を込めて悪口を」