北米

2023.10.23

保険の未来を考える

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保険は現代生活に不可欠であり、個人、家族、企業そして社会全体に、経済的安定を提供している。しかし、保険ビジネスは今、激化する新たなリスク、革新的な流通とサービスモデル、富と所得の不均衡、さらにはAI技術が大混乱を招き、あるいは新たレベルの機能をもたらす動きの激しいテクノロジー環境の影響を受け、厳しい転換の時期にある。業界のリーダーたちがこの荒海を航海する手助けをするべく、本稿は過去の業界実績と消費者、規制、競争、技術のトレンドを分析し、次の10年に何が期待されるかを概説する。

市場の不安定性に対する強度がある保険、しかしその先には乱流が待つ

2015年以来保険業界は、競合、消費者の期待の変化、テクノロジーの難題と試練、気候変動、社会の緊張など、さまざまな障害に直面してきた。これらの要因は業界の実績に影響を与え、その結果、新興市場の台頭を筆頭にさまざまな保険料の伸びにつながった。しかし平均すると、過去7年間の合算比率、損害率および支出比率は、保険会社の世界トップ25(時価総額による)の間で一定のトレンドが維持されている。

合算比率は100%前後で変わらず、利幅を圧縮し、事業損失を補うための値上げを余儀なくされた。これは、業界のコモディティー化および強固なバランスシートを維持するための多様化戦略の重要性を強調するものだ。地政学的な予測不可能性、厳しい経済、そして気候変動の現実という外的要因は、収益性にさらなる圧力をかけるだろうが、技術進歩がもたらす復旧の兆しや、2兆8000億ドル(約418兆円)の「補償ギャップ」市場へのソリューションを提供できる可能性もある。

ビジネスモデルと商品と保険会社のプロセスは変わらなくてはならない

保険業界は数十年来、居心地のよい、こまごまと決められた境界の内側で運営されてきた。保険会社が作る商品のタイプ、顧客に販売する商品の選択と方法、民間と公営の保険会社(そして社会全体)の役割と責任、さらには保険会社がどのようにリスクに値段をつけ損失を予測するかまで、明確な見込みが立てられていた。今日、保険ビジネスは変わろうとしている。そして新しい現実が形になりつつある。

保険のビジネスモデル。エンベデッド、コネクテッド、イマーシブ

保険会社のビジネスモデルは、進化する顧客ニーズに答え、マクロ経済と収益性に対する懸念に対応するために、進化と革新を続けている。新たな流通とサービスのチャンネル、スピードの必要性、保険関連ソリューションを提供する適切な場面とタイミングなど、外部、内部ともに多くのことが起きている。保険は次の10年で、今よりもエンベデッド(組み込み型)、コネクテッド(接続型)、コーペラティブ(協調型)、イマーシブ(没頭型)になっていき、顧客コミュニティーと共同で作られるようになっていく。

保険製品の設計と開発。迅速、個別化、総合的

保険会社は今後も生命、家財、医療、自動車保険という私たちが依存することになる製品を作り続けるだろう。しかし、これらの保険には、内部および伝統的保険業界以外からの情報がより多く取り込まれるようになる。そこには伝統的な保証「レコメンダー」の仕事を補完するAI、特に生成系AIが入ってくるだろう。その結果生まれる保険ソリューションは、高度に個別化され、全体と関わりが重視された、ニーズに基づく、先見的で、規格に適合したものになる。

保険プロセス。タッチレス請求、顧客中心、共感的

保険業界と主要なテクノロジー企業は、効率を高め、顧客体験を改善するために、賢く投資する必要がある。保険会社は、マーケティング、流通、引受け、請求、契約保全など、全般に渡ってプロセスの自動化を進めていく。そして先進的な保険会社は次の10年間に、収益を改善し契約数を増やすとともに経費を最適化してリスクを最小限にするために、自動化と共感を重視していくだろう。

全体的に見て、保険業界の未来はおもしろくなりそうだ。テクノロジーが進歩して世界が変わるにつれ、保険会社は対応していく必要がある。

本稿は、主席アナリストのインドラニル・バンドパティアエとエレン・カーニーが執筆した。こちらで最初に公開された。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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