赤外線で発電する太陽光パネルで世界を一歩リード、京大発スタートアップOPTMASS

プレスリリースより

おもに可視光線を使って発電する太陽光パネルは、温度が摂氏25度あたりで効率が最大になり、温度が高くなるにつれて下がっていく。そのため、日光が強くなる真夏には熱の影響で発電効率が大きく下がるという残念な欠点がある。そこで赤外線で発電できないかと、世界中で研究が進められているが、日本の「窓ガラス発電ベンチャー」OPTMASS(オプトマス)が一歩リードした。

OPTMASSは京都大学発のスタートアップ。京都大学化学研究所の坂本雅典准教授が開発した、赤外線(熱線)だけを吸収してほかの光と透過する「熱線遮蔽ナノ粒子」の量産化に成功した。透明なので、これを窓に使えば太陽の光は通しながら、目に見えない赤外線を電力に変換してくれる。熱線を吸収するため夏は冷房用電力が節約できるというダブルの二酸化炭素削減効果も期待できる。

熱源遮蔽ナノ粒子は吸収波長域が調整でき、太陽光以外の熱線にも対応できるため応用範囲は広い。これを使った透明太陽電池の発電効率は、まだ一般の太陽光パネルには及ばないが、日本の都市の建物の窓面積を集めるとかなりなものになる。坂本雅典氏は、あべのハルカスのガラスをすべてこの透明太陽光パネルに変えれば、メガソーラー級の発電が実現できると話している。

太陽光発電にも植物の光合成にも使われていない太陽光の44パーセントを占める赤外線を有効に使い、ビルごとの電力自給と二酸化炭素削減で持続可能な社会を目指す。「街を森に!」というOPTMASSのスローガンは、それを意味している。

OPTMASSは、7月26日、リアルテックファンドとサムライインキュベートを引受先とする1億6000万円の資金調達の実施を発表した。これによりさらに開発を進め、製造のスケールアップを確立するとのことだ。熱線遮蔽ナノ粒子は、2023年中のサンプル販売を予定している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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