研究チームは、欧州全域の超過死亡者数の推定値と数理モデルを用い、昨夏の熱波の死者を6万1727人と推定。欧州連合(EU)の気象情報機関であるコペルニクス気候変動サービスによると、昨年5~8月に記録的熱波に見舞われた欧州の南西部では、熱波に関連した死者が最も多かった。
論文によると、熱波関連の死者が多かった上位5カ国はイタリア(1万8010人)、スペイン(1万1324人)、ドイツ(8173人)、フランス(4807人)、英国(3469人)。週別では7月18〜24日の死者が最も多く、1万1637人が死亡した。
コペルニクス気候変動サービスは、2022年の夏は欧州史上最も暑い夏となったと指摘。同年5月のフランスは1900年代以降で最も暖かく、同月27日には気温が33度に達した。6月にはスペインとイタリアの一部で気温が40度を超えた。7月18日には英国で同国史上最高の40.2度を記録した。
欧州で2003年夏に起きた熱波では、7万人以上が死亡したことが、2008年の論文で明らかになっている。2003年7月には気温が35〜40度まで上昇する日が続いた。
今年はエルニーニョなどの気象パターンにより、世界中でさらに多く人が熱波により死亡する恐れがある。英気象庁は、2023年は世界中で史上最も暑い年になると予測している。
コペルニクス気候変動サービスによると、6月はベルギー、アイルランド、オランダ、英国で記録的な暖かさとなった。気象予報サイトのAccuWeather(アキュウェザー)は、欧州では6~8月の気温が例年を上回り、6月と7月は降雨量が少なくなると予測している。
国連の世界気象機関(WMO)は先週、エルニーニョの発生を宣言した。エルニーニョは海水温と気温が上昇する気象現象で、2〜7年ごとに発生する。
7月3日の世界平均気温は17.01度と観測史上最高を記録。その翌日には17.18度となり、2日連続で記録を更新した。
(forbes.com 原文)