マラリアは蚊に刺されることで伝染する病気で、インフルエンザのような症状を引き起こし、放置すると死に至ることもある。世界保健機関(WHO)は、気候変動によって蚊が媒介する感染症の流行が拡大する恐れを警告している。
米国内でマラリアに感染するリスクは極めて低いが、CDCは過去2カ月間に発生した5件の地域感染例を特定した。州をまたいで感染が拡大したことを示す「証拠はない」としている。
テキサス州とフロリダ州ではこのところ気温が38度近くまで上がる熱波が続き、暴風雨も相次ぐなど、蚊が非常に繁殖しやすい環境となっている。
科学者たちは、この猛暑や大雨は「人為的」な気候変動の影響によるものだと指摘。WHOは、気候変動によって「降水量が増加し、気温と湿度が上昇する」としたうえで、気温が上がるにつれて「亜熱帯や熱帯の気候でよく見られる」マラリアの発生率も高まると警告している。
米国におけるマラリアの地域感染は、2003年にフロリダ州で8人の感染が確認されて以来となる。WHOによれば、蚊が媒介する感染症は世界的に増加傾向にあり、最新データでは「世界人口の約半数が危険にさらされている」という。マラリアと同様に蚊が媒介するデング熱の感染件数は、2000年には50万件だったのが2019年には520万件に激増した。WHOの新たな研究によると、米南部の乾燥した地域でも、猛暑によって熱帯性の蚊の繁殖が活発になる可能性がある。
米国では今月、アリゾナ州からフロリダ州にかけて、上空に高気圧が停滞して熱気が閉じ込められる「ヒートドーム現象」により気温が危険な水準まで上昇し、5000万人以上に影響が及んでいる。米国立衛生研究所(NIH)は、フロリダ州など南部の州の環境条件がマラリアの感染拡大につながる可能性を指摘している。
米海洋大気庁(NOAA)によれば、猛暑の影響は今週いっぱい続く見通し。
(forbes.com 原文)