それが愛媛県大洲市にある大洲城に宿泊できる、「大洲城キャッスルステイ」だ。
本物の城に泊まれるのは日本初。だが、ただ泊まるだけじゃない。
「大洲城キャッスルステイ」は、歴史的・文化的価値の高い大洲の有形・無形文化財を見るだけでなく活用したり、体験することで、大洲の文化を後世に継承しようという、観光まちづくりの一環としてスタート。それだけに随所に大洲の歴史を感じることができる、他にはないプランになっているのだ。
そもそも宿泊できる大洲城とはどんな城なのか。
大洲城の大元は鎌倉時代末期の地蔵ヶ岳城と言われている。
明治21年に天守閣が取り壊されたものの、4棟の櫓は解体をまぬがれ、国の重要文化財に指定を受けている。
そこで、さらに天守も復活させようと、古い写真や模型などの史料を元に、2004年に木造復元されたのが大洲城だ。しかも完全復元木造天守は日本全国にたった5城しかないという、レアすぎる城なのだ。
さて、このプランのすごいところが、空港に着いた瞬間から本気で殿様気分を味わせてくれるところ。
それは松山空港に到着したときから始まる。
空港の到着ロビーではなんと武士の姿をした家臣(コンシェルジュ)がお出迎え。武士の案内で車に乗り込むと、まずは入城の身支度を整えるため車は大洲市へと向かう。
ここで男性は甲冑姿に、女性は和服へと着替えをするというのだから、おのずと殿様気分も高まるというもの。これには息子や娘も喜ぶこと間違いなしだ。
そして日暮れとともに、いよいよ入城!
だが、ただ城に入るだけではない。なんと大洲城藩主・加藤忠泰の史実を基にした入場の儀式が行われるのだ。
この儀式がまた、驚くほど本格的。
法螺貝と陣太鼓の合図で大洲城に入城をすると、武士たちが火縄銃の祝砲を打ち、新たな城主を迎えてくれる。本物の火縄銃の音と煙は迫力満点だ。
さらには殿のためだけに、大洲の伝統芸能、神楽がお披露目されるなど、まるで異世界にトリップしたような感覚を味わえる。しかも自分たちのためだけに行われているのだから、感動もひとしおだ。
普段は観光スポットとなっている大洲城だが、この夜は天守と二つの櫓が自分たちだけの貸し切りとなる。ただの観光では気づかないところまで、城内をじっくりと案内してもらったら、お待ちかねの夕食タイムだ。
夕食は国指定重要文化財となっている高欄櫓へ。かつては武将たちが月を眺めていたという風情あふれる空間で楽しめるのは、殿様御前。大洲や近郊で採れた食材を使った料理がうやうやしく運ばれてくる。
重要文化財の中で、うまい料理と地酒でゆるゆるとした時間を楽しむというのも、普段では考えられない体験だ。
ほろ酔い気分で天守閣に戻ったら、フカフカの寝具にくるまって就寝。布団の横には、甲冑も飾られていて、眠りにつくその時まで、殿様気分を味わうことができるだろう。
さらに朝食はミシュラン・グリーンガイドジャポンで一つ星を獲得した「臥龍山荘」で和朝食を食べられるなど、大洲の歴史を思う存分堪能することができる。