経済

2023.04.14 10:45

建設業の倒産が急増。資材高・人手不足・工期長期化の「三重苦」

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建設業界で資材高と人手不足が深刻化し、暗い影を落としている。


帝国データバンクが実施した調査(※)では、2022年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の建設業界での倒産は1291件に上り、低水準が続いた2020年度(1167件)、2021年度(1084件)から大幅に増加。単月でも今年3月(155件)は約6年半ぶりの高水準となり、倒産が急増している現状が明らかになった。

建設業は、コロナ禍で商談や工事の遅れが生じ、打撃を受けたものの、コロナ融資をはじめとする政府の支援策が機能し、倒産件数が2021年度、過去20年で最少に。一方、ロシアによるウクライナ侵攻や円安によって原料価格が高騰し、鉄骨や木材をはじめ様々な建設資材の価格が大幅に上昇。物価高が要因の倒産の割合は徐々に拡大し、2022年7月には1割超を占めた。

さらに、建設業では人手不足も加速。労働人口の高齢化や比較的低い給与水準、建設業の需要拡大などがネックとなり、建築士や施工管理者などの有資格者が不足。2022年度には、人手不足倒産全体のうち、4件に1件が建設業だった。そうして建設現場では、「資材不足と価格高騰」「人手不足」が常態化。結果、工期も「ずれ込む」悪循環に陥る中小零細企業が目立ち、業界の倒産率を引き上げている。

帝国データバンクでは、「建設業では今後も、国交省直轄工事ではじまった総合評価落札方式の「賃上げ加点」などをはじめ、人手確保目的など内外からの賃上げ圧力に晒される。コロナ禍で多くが導入したゼロゼロ融資の返済もピークを迎えるなか、各種コストの増加分を価格に転嫁する『発言力』に乏しい中小零細規模の建設業を中心に、当面は倒産増加の傾向が続く可能性が高い」と指摘。

中小零細企業が多くを占める建設業界について、厳しい今後の見通しを示した。


※ 集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産


プレスリリース

文 = 大柏真佑実

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