ソフトウェア開発業界と金融業界で短期間働き、それらの業界に幻滅した英国在住のジデ・アデトゥンジ(28)とイブラヒム・カマラ(29)は、大胆な方向転換を選択した。
2015年、彼らは、新進のクリエイティブな才能の物語を伝える「自分たちの雑誌」を立ち上げることにした。クリエイターとして成功し、カラフルなキャリアを築くことができることを、世界(と自分たち)に示すためだ。
「私はただ、自分の青春時代を思い返しました」とアデトゥンジは言う。
「私はクリエイティブなことが大好きです。絵を描くことも、音楽も、ファッションも好きで、起業家であることも好きです」
2人は、クリエイティビティのさまざまな形を紹介できるようなサービスを開発しようと知恵を絞った。その後、GUAP(グアップ)という雑誌事業を、ビデオマガジン、イベント部門、ポッドキャストスタジオ、クリエイティブエージェンシーを含むマルチプラットフォームの若者向けメディアブランドへと成長させた。現在では、Nike(ナイキ)、TikTok(ティックトック)、Coca-Cola(コカ・コーラ)、Adidas(アディダス)といったブランドをクライアントに抱えている。
アデトゥンジとカマラにとって、「一度部屋に入ったらドアを開けておく」ことが重要なのだという。
第8回目となる「30 Under 30 ヨーロッパ メディア・マーケティング部門」には、アデトゥンジとカマラのように、業界へのアクセスを拡大し、多様性を高めている先駆者たちが幅広く選出されている。今回の候補者は、2023年3月7日時点で30歳未満であり、過去に30 Under 30に選ばれたことがないことが条件だった。
審査員は、Finacial Times(フィナンシャル・タイムズ)のCEOであるジョン・リディング、L’Oreal(ロレアル)のチーフ・デジタル&マーケティング・オフィサーであるアスミタ・デュベー、TikTokのグローバルビジネスソリューション、マーケティング責任者のトレバー・ジョンソン、2018年の「30 Under 30ヨーロッパ」の作家・活動家のクブラ・グマサイが務めた。
有色人種の女性の声を高めるためのビジネスも
ワルシャワからは、ウクライナ出身のドミトロ・サモイリョク(28)、アリーナ・ボンダレンコ(21)、ヤロスラフ・サモイリョク(22)が選ばれた。彼らが始めたのは、途上国のマイクロ起業家が、スマホからオンラインで製品やサービスを販売するためのAIを搭載した”モバイルファースト”のウェブストアと、広告ビルダーであるZeely(ジーリー)だ。現在、米国、ブラジル、メキシコで7000人のユーザーを抱えている。自分の故郷にこだわる人もいる。ルンビ・ムピンドゥ(29)、クリスティーナ・オコロチャ(29)、ルビー・アーリク(29)は、ロンドンを拠点に、英国の黒人デジタルタレントの育成にのみ焦点を当てたエージェンシーVamp(ヴァンプ)の創設者だ。エンターテインメントのPRとデジタルタレントのエージェンシーを兼ねるVampのチームは、有色人種の女性の声を高めることで成功を収めてきた。
数十人のインフルエンサーを管理するだけでなく、『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー』、『ウーマン・キング』、『バズ・ライトイヤー』、『ノープ』など30以上の映画やテレビの公開に携わり、Sony(ソニー)からSpotify(スポティファイ)まで、世界で最も知名度の高いブランドとコラボレーションしてきた。