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2023.02.28 08:45

AIで効率良く合成法を探すアンモニアの思わぬ使い道とは

GettyImages

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AIを活用したシミュレーションにより、解析を効率化して素早く目的の素材を絞り込む手法が確立されつつあります。

富士通は、アンモニアの合成手法を開発するアイスランドのベンチャー企業Atmonia ehf.(アトモニア社)との共同研究において、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)を用いた量子化学シミュレーション高速化技術とAIによる因果発見技術を組み合わせることで、アンモニアを効率よく合成する触媒材料候補を探索する期間を従来の半分以下にすることに成功したと発表しました。

アンモニアは、燃焼してもCO2を排出しないため、次世代クリーンエネルギーとして注目されています。ただ、常温常圧で水と空気と電気から効率的かつ安定的に合成するには、それに適した触媒材料が必要で、アンモニア合成触媒の探索効率化を両社が2022年4月より研究していました。

触媒材料は、さまざまな原子配置の構造、化学元素の種類やその比率など膨大な組成の組み合わせがあるため、従来の量子化学シミュレーションでは、十分な探索が行えませんでした。そこで、HPCにより量子化学シミュレーションを高速化するシミュレーションデータの生成と、そのデータをAIに学習させて未知のデータを予測するAIシミュレーションモデルを組み合わせることで、探索効率を従来の量子化学シミュレーションと比較すると100倍以上高速に予測できたとしています。

今回開発された技術によって、1万ケース以上のアンモニア合成触媒候補のシミュレーションデータを生成し、AIによりそれらのデータにおける因果関係の傾向から、族番号(元素の周期表で横方向の番号)の小さいものが適しているといった候補絞り込みの方向性も見いだせたとのことです。

こうした望んだ材料を見つけだすためには、昔なら地道な実験を繰り返しで得られた傾向から推察していくため、膨大な時間と労力が必要でした。それが、シミュレーションな掛けるデータを入力さえすれば、自動的かつ短時間で材料候補の絞り込みが行えるようになります。今回はアンモニアの合成手法の確立でしたが、さまざまな分野の探索効率化に貢献できるのではないかと期待ですね。

プレスリリース:富士通& Atmonia ehf.「HPCとAIを活用した量子化学シミュレーション高速化技術を開発し、クリーンなアンモニア合成に向けた触媒候補探索期間の大幅な削減に成功」より

文=飯島範久

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