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2022.12.07 08:15

「倒産する会社10の共通点」を税理士に聞いてみた

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企業の倒産件数が増加している。10月の企業倒産件数は前年同月比でプラス16%、前月比もプラス1.9%で上回った。2022年5月以降、コロナ禍での増加基調が続き、2022年通年での倒産件数は6200~6300件に届く見込みだという。

数値はすべて帝国データバンクの調査によるものだが、それ以外の倒産件数も相当数に上ると想定される。

そんな中11月、会計(税理士)事務所と一般企業に向けてシステム開発やコンサルティングなどを提供するYKプランニングが、税理士をはじめとする税理士事務所の勤務者(557人)と直近10年以内に倒産経験がある経営者または元経営者(502人)、計1059人を対象とする倒産に関するギャップ調査を実施。

税理士事務所勤務者に倒産した企業(経営者)に共通する特徴を聞くと(複数回答可)、最も多かった答えが「経営者・従業員のモラルが低い」で36.1%。

続いて「経営者が決算書を読めない」(35.9%)、「経営理念や経営目的がない」(35.4%)、「事業計画や事業目標がない」(27.7%)、「キャッシュ(現預金残高)を把握していない」(25.5%)」の順に。

「経営者・従業員のモラルが低い」という経営姿勢に関する答えが1位になったほか、「決算書を読めない」「キャッシュを把握していない」などといった経営の基礎スキルを問うものが上位を占めた。

他にも「無計画な経費の支出がよくある」(23.2%)、「従業員がすぐに辞めていく」(17.8%)、「売掛金が特定の取引先に集中している」(12.6%)、「債権の滞留が多く、過去に貸し倒れが何度もある」(11.0%)、「常に債務の支払いが遅れがちである(10.1%)」という回答が並んだ。

さらに、「倒産の予兆を感じた場合、経営者が取るべき対策として適切だと思うものはどれか」を聞いたところ(複数回答可)、最多が「将来計画の作成・見直し」で29.4%。2位に「仕入や材料費の見直しによるコスト削減」(26.6%)、3位「一般経費の削減・見直しによるコスト削減」(25.1%)、4位「製品・商品・サービスの価格見直し」(21.9%)という結果に。



同社が今年6月に実施した直近10年以内に倒産経験がある経営者1003人へ向けた「倒産を予兆した際、どのような対策を行なったか」の質問では、1位が「新しい事業への転換」(24.6%)、2位「営業活動・マーケティング広告の拡大」(16.3%)となり、新規事業や営業・集客による売上拡大を目的とした対応が上位にあがった。

そのため今回の税理士が考えるコストカットや価格の見直しなどで増益を狙う対策が上位を占めた結果とは、対象的な内容になった。

さらに、税理士事務所(会計事務所)に倒産の予兆がある企業にどのような対策を提案しているのか聞くと、「まずキャッシュフローを改善するために支出を徹底的に洗い出す」(30代/男性/福岡県)「会計監視員を外部から派遣して経営状態をチェックする」(50代/男性/東京都)「運転資金としてのキャッシュフローの確保と不渡りを出さないようにするための手形決済管理の強化」(50代/男性/東京都)などという回答が得られた。

他にも税理士事務所の勤務者からは、経営者に対して「目先の数字ばかり気にしていて長期的に考えた適切な投資ができていなかった」(30代/男性/山梨県)「売上に目が行きがちだが、固定費の削減を伴うキャッシュフローの見直しが先決だと思う」(40代/男性/愛知県)「コストカットに注力すべきときに無謀な広告や思いつきの新規事業立ち上げなどに取り組む経営者が多い」(50代/男性/東京都)というさまざまな意見が。

一方で、倒産経験がある経営者側に「倒産を防ぐために自身が行なった対策と、税理士事務所(会計事務所)の提案とはギャップがあったか(あると思うか)」という質問も実施。「ある程度あった(あると思う)」が(50.6%)で最多となったほか、「とてもあった(あると思う)」が21.9%でそれに続き、合わせて7割以上がギャップがあったと答える結果に。

理由としては、「当時、具体的な倒産対策の提案は無かった。また、税理士の言う通りに事業を行なったら厳しい状況になり、結局、倒産した」(50代/男性/千葉県)、「当方は事業継続を希望していましたが、税理士は整理を薦めてきました。株式会社と有限会社の2社あったのですが、結果的に有限会社を整理して事業を停止しました」(50代/男性/大阪府)、「税理士といっても業界については勉強不足で一般的なアドバイスに終始した」(60代/男性/北海道)といった答えが寄せられた。

今後も円安、物価高騰、人手不足と、企業を取り巻く厳しい経営環境が続くことが予想される。経営者と税理士が経営のパートナーとして互いの手を取り合い、あらゆる局面を乗り越えていくことが求められている。

文 = 大柏真佑実

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