あなたが自分の能力をどう考えているかは別として、一般的に人間は異なるリズムを区別することがかなり得意だ。たとえ話すためだけであっても、この能力を私たちは毎日使っており、驚くことではない。言語のパターンを区別するために、私たちは当たり前のようにリズムから何らかのヒントを得ている。新しい発声を学習できる鳥類が、同様にリズムを区別できるのはそのためだと研究者は考えている。
実際、ビートを感じることを示した最も有名な動物の1つが、「スノーボール」という名のオウムだ。スノーボールが踊っている様子はこちらの動画で観ることができる。週末を楽しむのに手始めに観る動画としてはもってこいだ。
また、新しい発声をすることがあまりない動物がリズムをとるのが苦手な理由も説明できるかもしれない。しかし鳥と人間のデータだけでは解明するのに十分ではない。そこで、マックス・プランク心理言語研究所の研究者たちは、ゼニガタアザラシを研究対象とすることにした。ゼニガタアザラシは新しい発声を学習することができる数少ない哺乳類の一種で、捕食者を追い払うために「大きな」音を出す。
もしアザラシが新しい発声を覚えられるのなら、人間や鳥と同じようにリズム感もあるということだろうか。これを確かめるために研究者たちは、オランダ北部の海岸にあるアザラシの保護・リハビリテーションセンター「ピーテルブーレン」を訪れた。そして野生のアザラシを観察し、どのようにリズムに反応するか調べた。
アザラシは巧みに発声するものの、話すことはできない。そこで研究者たちは、人間の赤ちゃんに対するのと同じような方法でリズムを理解しているかどうかを調べた。アザラシの背後で音を流し、好奇心旺盛なアザラシが音のする方にどれくらい頻繁に顔を向けるかを観察した。
その結果、アザラシは不規則な音よりも規則的なリズムの音のほうに顔を向け、また長い音と短い音、遅い音と速い音の違いも聞き分けられることが明らかになった。つまり、アザラシは基本的なリズム感覚を持っていた。
この研究を主導した研究者のラウラ・べルガは、この研究結果は興味深く、リズムの概念を把握している哺乳類は人間だけではないことを物語っていると指摘する。べルガはマックス・プランク心理言語研究所に「まだかなり謎の多い、人間の言語と音楽性の進化起源をめぐる議論において大きな進歩だ」と語った。
だからといって、アザラシと人間だけがリズムをとることができる哺乳類ということにはならない。他の種ではまだ十分なテストが行われていないだけだ。べルガや他の研究者は将来的に調べたいと考えている。
(forbes.com 原文)