デジタルツイン渋谷にてVR店舗でも実店員が対応、現実とバーチャルの融合

プレスリリースより

東京都渋谷区公認の配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」は、メタバース空間にもうひとつの渋谷の街を再現して、さまざまなサービスやエンターテインメントを提供しているが、そこに実際の渋谷の街並みや店舗を忠実に再現して、まったく同じ渋谷のデジタル版、つまりバーチャルツインを構築しようという試みが、渋谷未来デザイン、渋谷区観光協会、KDDIによって始まった。

現在は2023年夏のサービス開始を目指して実証実験中だが、その第一弾が、アパレル店舗のデジタルツイン化だ。そこではKDDIのさまざまな先端技術が投入され、現実とバーチャルが融合した空間になっている。たとえば、バーチャルの店に入った客は、そこで実店舗の店員のアバターの接客を受ける。実店舗の店員には、客がアバターとして見えている。店の中は、商品の配列やポップの内容や位置までまったく同じになっているので、客が商品を指させば、店員にもそれがわかる。またお互いに会話もできるので、実店舗で買い物をするときと変わらない体験が得られるというわけだ。


KDDIは2019年、「渋谷の都市体験をエンターテインメントとテクノロジーでアップデートする」というテーマで、5G通信やAR、VRなどの技術を駆使した「渋谷の都市体験の拡張」に着手したが、2020年、新型コロナの感染拡大の影響で渋谷を訪れる人が減り現実の街を起点とした事業が困難になると、そに代わるメタバース「バーチャル渋谷」を渋谷区公認で開始し、バーチャルを起点とするさまざまなイベントを開催して、人々を渋谷に呼び込んできた。

今回の「デジタルツイン渋谷」プロジェクトは、衛星写真、航空写真、スマホで撮影された写真などから実際と同じ街並みや店の内外観を再構築するというもの。このデジタルツイン渋谷では、実際の街でスマホをかざすと、そこにバーチャルで訪れている人が見えて、会話ができるようになる。逆に言えば、バーチャル空間で実際の渋谷の同じ場所を歩いている人とコミュニケーションがとれる。世界中どこからでも「本物」の渋谷を訪れて、買い物や人との交流ができるという世界だ。

今後は、飲食業、観光業、不動産業、家電量販店、百貨店などとの業種との実験を進めてゆくとのこと。またKDDIは、この技術を、画像情報から位置特定を行う技術VPSと組み合わせることで、全国の主要都市にも短時間に低コストで展開できると話している。

文 = 金井哲夫

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