ビジネス

2022.11.02

グーグルが秘密裏に進めたアバター企業「Alter」買収の舞台裏

ALTER / GITHUB

グーグルは、人工知能(AI)を使ってアバターを生成するスタートアップAlterを、密かに買収していた模様だ。テッククランチは、このニュースを10月28日に報じ、買収額が1億ドル(約148億円)だったと伝えている。グーグルは、買収が事実であることを認めたが、金額についてはコメントしていない。

米国とチェコに本拠を置くAlterは、かつてFacemojiという社名で設立され、昨年、Play Venturesが主導し、TwitterとRoosh Venturesが参加したシードラウンドで300万ドルを調達していた。アップルのMemojiのような3Dアバターシステムの人気が高まる中、Alterはゲームメーカーが異なるネットワークに接続することなく、簡単にアバターシステムを構築できる仕組みを提供している。

Alterは、今年2月にCoreと呼ばれるテクノロジーを公開し、SDKをGitHubのリポジトリを通じて開発者に提供した。このSDKでは、顔のモーションキャプチャーなどを可能にするリアルタイム3Dアバターシステムの構築が可能になっていた。

今回の買収は、同様の3Dスタイルのアバターをアプリで提供しているTikTokとの戦いと密接に関係していると推測されている。

買収は8月に完了したと報じられており、AlterのDiscordのチャット履歴を確認すると、一部の開発者は、同社のウェブサイトがダウンした9月の時点で、その動きを察していたことが分かる。

ある開発者は、Discord上で「サイトがダウンしているが、なにかエキサイティングなことが起こっているのか?」と問いかけ、Alterの創業者のRobin Raszkaは、「¯\_(ツ)_/¯」と、英語圏で「知らない」を意味する絵文字を返していた。

同社は、その後間もなく、11月29日にコードへのアクセスやGitHubのアーカイブを中止し、SDKの更新やサポートも終了すると発表した。

リンクトイン(LinkedIn)を確認すると、Alterの元従業員の多くが、現在グーグルで様々なプロダクトのデザインやUXの職務に就いていることが分かる。ただし、創業者のRaszkaのプロフィールに、彼がグーグルで働いているとの記述はない。

筆者はグーグルにコメントを求めたが、この記事の公開までに返答はなかった。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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