ホワイトハウスの23日の発表によると、資金は保健福祉省傘下の薬物乱用・精神衛生管理庁(SAMHSA)を通じて提供され、各州や先住民居留地、準州によるオピオイド問題への対処策や依存者の回復支援に充てられる。具体的にはオピオイド拮抗薬のナロキソンなどを使った治療を受けやすくしたり、各州などによる回復支援サービスを利用しやすくしたりする。
ホワイトハウスはこのほか、この危機の最前線で取り組む法執行機関向けに1200万ドル(約17億円)を追加支出することや、財務省がオピオイド関連の国際的な不正取引に制裁を科す方針であることなども明らかにした。
ジョー・バイデン大統領はオピオイド対策を喫緊の課題に位置づけており、2023年度予算では国家薬物取り締まりプログラムの関係機関向けに前年度比32億ドル増の425億ドル(約6兆1000億円)を求めている。
活動家や政府、医療機関の取り組みにもかかわらず、オピオイド危機は悪化し続けている。米疾病対策センター(CDC)によると米国では昨年、薬物の過剰摂取が原因とみられる死者が前年比約15%増の10万9000人にのぼり、暦年で初めて10万人を超えた。
経済コストも甚大で、フォーブスの試算では年間1兆3000億ドル(約190兆円)に達する。
専門家はオピオイド危機について、一つの原因に帰せられるものではなく、医療、取り締まり、社会的支援、規制といった制度全体にわたる複数の失敗が重なって起きているとの見解を示している。
米食品医薬品局(FDA)も22日、ナロキソンの利用促進に向けた新たな指針を公表し、オピオイド危害軽減の取り組みをさらに強化した。FDAは薬物過剰摂取のまん延対策を「衛生上、緊急性の高い課題」とみなし、救命治療の妨げとなるような製品認証や追跡は行わないことも明らかにしている。
(forbes.com 原文)