ライフスタイル

2022.08.17 10:00

見た目も味も栄養も。シェフも注目するエディブルフラワーとは


栄養面でのメリット


実は、エディブルフラワーは栄養面においても優れた特長を持っている。ビタミンや食物繊維は多くの花に共通して含まれているが、エイジングケアに良いと言われるポリフェノールやファイトケミカル、ストレス解消や解毒作用があるとされるスルフォラファン、更には丈夫な骨や歯をつくるカルシウムを含む花もある。

ただ現状では未知数の部分が多く、その実力の全容を解き明かすまでには少し時間がかかるようだ。いずれにせよ、可愛らしいサイズにも関わらず豊富な栄養素を蓄えており、私たちの心と体にエネルギーをもたらしてくれる可能性がある。

幅広い活用法


エディブルフラワーの活用法は料理だけにとどまらない。例えば、バラの花びらにやや粗目の砂糖をコーティングして乾燥させたシュガーコート。紅茶に浮かべるだけで甘味とフラワリーな香りが広がっていき、優雅な気分に浸ることができる。ドライフラワーにして保存しておけば、好きな茶葉に混ぜたりポプリとして楽しんだりもできる。

好みの花をワインビネガーやオリーブオイルにつけておくだけで、華やかな香りと味わいが液体に浸透し、オリジナルの調味料が完成する。食べても良いナチュラルなものだからこそ、手造り石鹸や化粧水などにも使うのもいいだろう。

筆者が特にオススメしたいのは、エディブルフラワーを使ったカクテルだ。やや甘口のスパークリングワインに、氷とお気に入りの花を数輪浮かべてみると……それだけで華やかさと複雑味が増し、非日常感が一気に高まる。

null
食用バラの花びらを散らしたスパークリングワイン

エディブルフラワーができるまで


最後にエディブルフラワーの生産者の話を少し。今回取材したのは、都内某所でエディブルフラワーの栽培に力を入れている、横山園芸の横山直樹さん。栽培の上での苦労を尋ねたところ、「常に虫との闘いですね」と言う。

「花というのは、繁殖目的で虫を呼び寄せるためにこうして美しく咲くのです。鮮やかで美味しい花を育てれば育てるほど、虫はどんどん寄ってきます(苦笑)」

しかし横山さんは、「安心安全のため、そしてより美味しい花を生産するために、化学農薬や化学肥料を使わない」というこだわりを持っている。それを実現するために、ビニールハウスの隅々までネットで覆い、虫の侵入経路を塞ぐなどの工夫を施しているのだ。

「ただキレイなだけではなく、香りや食感、その余韻まで、五感で楽しんでいただけるのがエディブルフラワーの魅力です。お花は愛らしく命あるものなので、単なる飾りで終わらせて欲しくはありません。もっと沢山の人々に知っていただき、楽しんで欲しいですね」

レストランのみならず、日常の食卓をエディブルフラワーが彩る日も近いかもしれない。お皿は華やかになり、料理の味わいは進化し、そのテーブルでは話に花が咲くこと必至だ。

文=瀬川あずさ

ForbesBrandVoice

人気記事