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ビジネス

2022.07.21 10:00

政策起業家元年へ。社会課題を構造から変えるさまざまな非営利セクターの進化


NPOという「機能」


「非営利における物資支援の動きで、設立1年での規模ではダントツですね」

一般社団法人RCF代表理事の藤沢烈は、新型コロナウイルス患者の治療にあたる医療従事者向けの食支援を行うプラットフォーム「WeSupport」についてそう話す。オイシックス・ラ・大地、セイノーホールディングス傘下のココネットとRCFで組んで20年4月に設立した同プラットフォームは21年9月時点で、食品協賛を行うサポート企業126社、のべ支援者数は約70万人、支援金額7億円以上に成長。ひとり親世帯を中心とした子どものいる貧困家庭向けの食支援プロジェクト「WeSupportFamily」を開始するなど新展開もしている。NPOの専門性と企業のネットワークやオペレーションが組み合わさることで社会インパクトを生んだ。起業家とNPOが主導したコレクティブ・インパクトととも言える。

「高島(宏平、オイシックス・ラ・大地代表取締役社長)さんがコミットしたことで急拡大した。こうした起業家や企業経営者が自分たちでプロジェクトをつくり、自ら動くという流れが好循環を生んでいる」(藤沢)

そのほかにも、ラクスル共同創業者の利根川裕太が代表理事を務める、プログラミング教育推進のNPO法人みんなのコードや、同団体出身の田中沙弥果が代表理事を務める、IT分野のジェンダーギャップ解消を目指す一般社団法人Waffleのようにスタートアップ的な経営をする非営利団体も生まれている。また、前述の駒崎らによるメガベンチャーが、イノベーションと産業創出の担い手になったように、疲弊する自治体の補完を可能にする規模の大きな「メガNPO」創出の必要性を問う動きも出てきている。

東日本大震災以降、国や行政、企業との連携で組織的動きができる規模の大きなNPOの出現など進化している非営利セクターに、新しい流れが生まれている。

藤沢は今後について面白い視点を提唱する。自身の、ふくしま12市町村移住支援センター・センター長、Jリーグ理事の経験を踏まえて、次のように話す。

「上場企業が1つNPOをもつ時代がくる。そして、NPOは、例えばマーケティングのような『機能』になるのではないか。企業、行政に、(NPOで事業担当していたような)ソーシャル担当人材がいるという未来だ。彼らによる企業や行政での事業創出もまた、大きな社会的インパクトにつながる」

目指すべき6つのエンドゲーム


出所:『スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー ベストセレクション10』

文=山本智之

この記事は 「Forbes JAPAN No.093 2022年月5号(2022/3/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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