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2022.07.12 09:30

テスラの強敵に浮上した中国BYDとNIO、高価格モデルも強化中

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世界市場ではVWと現代がテスラを追撃


グローバルでは、フォルクスワーゲンと現代自動車がテスラとの差を縮めており、欧州やアジア市場では中国勢がシェアを拡大している。長期的には、ゼネラルモーターズとフォードが幅広い車種のEVの販売を強化し、米国におけるテスラの牙城を切り崩そうとしている。

ゼネラルモーターズは、マス市場向けには販売価格が2万6595ドルからと、驚くほど手頃な2023年式シボレー「ボルトEV」を、プレミアム層向けには6万2000ドルのキャデラック「リリックSUV」と10万9000ドルの「ハマーEV」を販売する予定だ。一方、フォードは、人気ピックアップトラックのEV版「F-150ライトニング」を3万9974ドルから、EVクロスオーバー「マスタング・マッハE」をベース価格4万3895ドルで販売する。テスラのエントリーレベルであるモデル3は4万6990ドルからとなっており、マスタング・マッハEの価格はこれを下回る。

欧米では今年後半から景気後退に入る可能性があり、価格が高級車クラスのテスラに対する需要は、2022年末に向けて減退するかもしれない。

Wedbushのアナリスト、Dan Ivesは次のように述べている。「経済の先行きに暗雲が漂い、マスク自身も景気後退が差し迫っていると考えている。マクロ環境の悪化が四半期ベースの需要に悪影響を与えることは明白だが、2023年のテスラ車に対する需要が世界で200万台に達する可能性は十分ある。同社は、オースティンとベルリンの新工場の稼働や、中国工場の正常化によって、この数字を上回る生産能力を持つことができるだろう」

米国では、ルーシッドやフィスカー、リビアンなどの新興勢がサプライチェーン問題や原材料と部品コストの上昇を乗り切ることができれば、2023年に生産台数を拡大し、テスラにとって新たな脅威になる可能性がある。

リビアンは7月6日、ピックアップトラックとSUV、配送トラックを合わせた今年のEV販売台数が少なくとも2万5000台に達する見込みであることを明らかにした。これを受け、同日のナスダック市場では、リビアンの株価が10.4%上昇し、29.66ドルをつけた。一方、テスラの株価は約1%下落し、695.20ドルとなった。

編集=上田裕資

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