その当時は「何かをしていないと、仕事していないんじゃないか」と気持ち悪くて、やらなくてもいいタイミングで売ったり買ったりを繰り返した結果、損が出ました。そこから学んだのが、先ほどの「待つ」ことの重要性です。
さらに、投資の師匠に「最初の1年が終わったときに、自分が何をしているのかわかればいい」と言われ、取引履歴をすべて見て統計を取ったところ、買いよりも売りのほうがリターンがあった。そこから下手に他に手を出すことはしません。
今の僕は、基本は「日経225先物取引」の売り一択です。あれもこれもすべてのパターンを勉強しないといけないのではと学んだものの、多くを学びすぎたせいで余計に混乱してる方をたくさん見かけます。その点僕は、わりと初期から自分が得意とするパターンに絞って取引をしていました。
苦手なことは、極論やらなくていいと思っています。人それぞれある苦手なことは、性格であり個性。悪いことではありません。ただ、そこに時間を費やして無理やり克服するよりも、「苦手を凌駕するような、得意分野」で勝負したほうがいい。苦手なことをやらなくて済むように、自分が得意な土俵で戦う。それは心がけています。
でも、それもただ「苦手なことはやりたくない」と主張しているだけではダメで、ある程度の結果を残していないと誰も話を聞いてくれません。その結果を残すまでは大変だと思いますし、どこかで勝負に出る必要があります。
今でも忘れないのは、2016年。イギリスのEU離脱選択、そしてアメリカの大統領選挙があった年です。投資を続けてちょうど2年くらいになったタイミングで、相場が動き続けていて、自分の得意なパターンが来たので、リスクをとって勝負しました。数千万の証拠金が、最悪すべてなくなってもいい、くらいの大勝負です。そのときはスイッチが完全にオンになり、ゾーンに入って無我夢中。そこでの成功は非常に大きなものでした。
もともと「お金は幻想だ」という意識があり、相場が乱高下するのと同時に口座残高が増減してもメンタルがやられるタイプではないので、いざ勝負すべきタイミングで感情的にならずしっかり勝負することができました。
後編:「年収1億円、働くのは年間30日」のカリスマトレーダーは『絶対の方程式など探さない』に続く