まだ僕自身を「成功している」とは思っていませんが、それでも、投資がうまくいかず撤退する人と、8年やってこれている僕の違いがあるとするならば、やはり「待てる」ことです。自分の勝ちパターンである相場のタイミングが来るまでひたすら待ちます。
たとえば、アメリカの大統領選挙やイギリスのEU離脱、最近で言うならばロシアとウクライナの問題が勃発したタイミングなど、相場が大きく変動するタイミングで「なんだか相場が賑やかそうだな」と感づいたら入ります。一旦スイッチが入ると3週間くらいは寝食を忘れて張り付くこともあるので、とてもメリハリがある働き方ですね。
けれど、ニュースをものすごく追っているかといえばそうではなく、キュレーションサイトでざっと動向をチェックするくらい。日経新聞を読むなどもせず、基本の情報源は人との会話だったりします。
いわゆる投資テク本を読むこともしませんが、そのかわりに古典の名作は愛読しています。100年以上前に刊行された、心理学の視点から群衆の心理を解き明かそうとした、ギュスターヴ・ル・ボンの『群衆心理』は、投資をする上で非常に役立っています。相場を動かすのはいつだって人間の心理ですから。
子どもの頃から人や物事を観察することが好きでしたが、今でも自然とベンチに座っている人を見ては「あの人は何をするんだろう」と観察することがあります。「観察」は、投資の世界に必要なマーケット分析にもつながります。
苦手なことをやらないために、得意分野を徹底分析して勝負する
──周囲を見ていて「成功している人の法則」はあるのでしょうか。
成功している人は「自分の、確固たる軸」を持っている方が多いです。僕が投資の師匠と仰ぐ方に言われた言葉でとても印象的だったものに「俺と同じように取引をしても稼げない」というものがあります。不思議なんですよね。師匠と僕が同じようにやっても、師匠は勝てて、僕は勝てない。投資の世界は、自分と向き合わなければうまくいきません。自分と向き合い、性格を熟知して、優位性に変えるのが仕事。これは他の仕事でも共通することかもしれません。
僕自身、最初の1年で、自分が得意な勝ちパターンをしっかりと分析しました。
今でこそ相場に張り付くのは年間30日程度ですが、独立して投資を始めて最初の1年は、8時過ぎから15時過ぎまではチャートに張り付き、夜間もアメリカのシカゴ・マーカンタイル取引所の動向を追うべく、2〜3時間睡眠の日々が続きました。うまくいかなくてモニターを壊したこともありますね(笑)。