「コアバリューが口先だけ」の企業を見抜く方法

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会社の核となる価値観を示した「コアバリュー」は、ほとんどの企業が設定・公表しているが、それに真剣に取り組んでいる企業ばかりではない。企業のウェブサイトや役員室、会社のロビーなど至る所にコアバリューを掲げていても、日々の活動に浸透していない企業はあまりにも多い。

筆者が創業したコンサルティング企業リーダーシップIQが最近行った調査では、会社の価値観について日常的に議論している企業は、数年に一度の見直ししかしていない企業と比較し、従業員エンゲージメントが88%高いとの結果が出た。また、コアバリューを業績評価に組み入れている企業はわずか21%だったものの、そうした企業で働く従業員エンゲージメントは80%高かった。

コアバリューを毎日の活動の隅々にまで浸透させるには、真剣な取り組みが必要だ。業務にコアバリューを組み込むことで、従業員の幸福度やエンゲージメントの大きな改善につながる。

もちろん、ある企業がコアバリューについて真摯に取り組んでいるかどうかを見極めるのは難しい。キャリア関連サイトは常に、その企業がコアバリューについて真剣に考えていると主張するものだ。真実を知る唯一の方法は、面接で探りを入れることにある。その際には、回答が「はい」か「いいえ」で完結してしまう質問は避け、もう少し深掘りをするようにしよう。

まず、「御社は、従業員に会社の価値観がどの程度浸透しているかを、どのように評価していますか」と質問してみる。おそらく、面接官は唖然とした表情を浮かべるだろう。今回の調査結果で示された通り、コアバリューを業績評価に組み込んでいる企業は少ない。相手が返答に窮したなら、その企業では業績評価にコアバリューを加味していないということだ。

この点だけからも、その企業にあるかもしれない問題点がうかがえる。この会社では、優秀で横暴な一部の社員が幅を利かせているのかもしれない。態度は悪いが優秀な従業員が少なからずいる企業のCEOは、年1回の業績評価時にコアバリューを加味しようと思うだろうか? もちろん思わないだろう。態度の悪さは、そうした社員の評価を下げてしまう。態度は悪いが優秀な人材の業績評価に傷をつけたくないなら、実務スキルのみを評価対象とすればよい。

コアバリューが業績評価に組み込まれていないのは、惰性や未熟な人事慣行のせいであって、悪意があるわけではないかもしれない。それでも、決して良い兆候とは言えない。

次に投げかけるべき質問は、「御社は、どのようにコアバリューを日常業務に組み入れていますか」だ。月次や週次の会議にコアバリューを議題にしたり、会社の価値観を最も良く示した従業員を四半期ごとに表彰したりしているかもしれない。自社のロビーに貼ったポスターでアピールする以上の具体的なエビデンスを、相手が示せるかどうかに注目しよう。

この2つの質問は、その時々の状況に合わせて調整を加えても構わない。しかし重要なのは、企業がコアバリューをどの程度実践しているか、していないかについての実情を聞き出すことだ。

編集=遠藤宗生

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