経済・社会

2022.06.01 06:30

イランが濃縮ウラン備蓄量を拡大、「核爆弾」製造に現実味

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国際原子力機関(IAEA)の報告書によると、イランは備蓄する濃縮ウランの量を、核兵器を製造するために十分な量にまで増やした模様だ。イランの核合意の検証に当たるIAEAは、イランに調査への協力を求めており、米国は2015年のイランとの核合意を修復する道を探っている。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)らが入手したIAEAのレポートによると、イランは現在、60%に濃縮したウランを約43キロ貯蔵しており、その量は3月から約10キロ増加したという。

43キロの濃縮ウランは理論上、爆発物を作るために十分な量と考えられている。実際に核爆弾を製造するためには、90%以上の濃縮度が必要とされるが、専門家はイランが軍事利用に踏み切れは、核爆弾に必要な高濃縮ウランを容易に製造できると述べている。

イランは長年、平和目的で核プログラムを維持していると述べている。

イランは、数十年にわたり核開発を進めており、一部の国は、電力開発のためにこのプログラムを実行しているという同国の主張が核兵器開発の隠れ蓑だと述べている。2015年にイランは米国、中国、ロシアらと、制裁の緩和と引き換えに、核開発を制限する協定を締結した。

しかし、トランプ政権は2018年に米国をこの協定から離脱させ、イランに対する制裁を強化した。バイデン大統領は核合意の再締結を模索したが、イラン側はトランプ政権時代の制裁の緩和と、米国が再び合意から離脱しないことの確約を求めており、交渉は難航している。

一方、イランは、彼らがイスラエルの仕業だと主張する核施設への攻撃を受け、昨年からウランの濃縮を開始した。

編集=上田裕資

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