米国が輸入するウォッカの内訳、ロシア産はごくわずか

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<米国における蒸留酒輸入額の推移(※各年の2月の輸入額)>

2013年 4億2890万ドル
2014年 3億5130万ドル
2015年 4億3474万ドル
2016年 5億2278万ドル
2017年 5億1890万ドル
2018年 5億5371万ドル
2019年 6億2922万ドル
2020年 6億2246万ドル
2021年 5億6159万ドル
2022年 8億4207万ドル


米国国勢調査局のデータによれば、米国における蒸留酒(テキーラ、ウォッカ、ジン、ラム、ウイスキーなど)の輸入額は、2021年に過去最高を記録した。

米国のウォッカ輸入額を見ると、ロシアを上回る国は5カ国もある。ロシアからのウォッカ輸入は、9年連続で全体の2%に満たなかった。

イメージは、たとえ誤解であっても、いったん世間に広く認知されると、塗り替えるのは難しい。

輸入品はすべて中国から来ている?(実際は18%だけだ)

石油の輸入は、すべて中東から?(米国の石油輸入量の半分以上を占めるのはカナダ産)

米国のウォッカ消費を支えているのはロシア?(明らかに誤りだ)

2021年には、蒸留酒の輸入額が過去最高を記録した。そうしたなか、米国人が最も好んだ蒸留酒はウォッカだと思っている人もいる(実際には、2021年のテキーラ輸入額は、ウォッカの2倍以上で、22年も増加が見込まれている)。

実際には、米国のすべての蒸留酒(テキーラ、ラム、ウイスキー、ブランデー、ジンなど)の輸入額に占めるウォッカの割合は、1998年以降で最小に落ち込んでおり、14%を切っている。

(大した影響のない対策に関しては、政府は断固として迅速に動くものだ。ウクライナ侵攻を受けて、すでに米国の10州が、ロシア産ウォッカの販売を禁止している。)

<米国におけるウォッカの主要輸入国>
※数値は市場シェア


フランス 46.83%
オランダ 20.50%
スウェーデン 12.15%
ラトビア 9.63%
ポーランド 4.70%
ロシア 1.15%


米国のウォッカ輸入額に関して、ロシアが最後に10%以上を占めたのは2009年のことだ。米国国勢調査局のデータによれば、2013年以降、その割合は2%未満が続いている。

11年連続で米国のウォッカ輸入額の40%以上を占めたのは、「グレイグース」と「シロック」のブランドで知られるフランスだ。

オランダのウォッカは、4年連続で20%を上回った。代表的なブランドに「ケテル・ワン」がある。

2021年に輸入額3位となり、全体の12.15%を占めたのはスウェーデンで、「アブソルート」ブランドで知られている。同国のシェアは、以前はさらに大きく、2004年には輸入額の40%、2006年には30%、2012年には20%を占めていた。

ラトビアのウォッカで有名なのは「ストリチナヤ」だ。旧ソ連で誕生したブランドで、同社のロシア人創業者は2000年、ルクセンブルクに移り住んだ(ウラジーミル・プーチンが大統領に就任したのと同じ年だ)。会社の所有権は、現在係争中だ。同社は2022年、ブランドを「ストリ」に改名した。

ポーランドのウォッカは、過去15年にわたって4〜6%のシェアで推移している。市場調査会社ユーロモニターによれば、ポーランドでもっとも有名な「ズブロッカ」は、「スミノフ」「ホールツィツャ」に次いで、2020年に世界で3番目に多く飲まれたウォッカだった。

スミノフはロシアで創業したが、現在は英国のコングロマリットであるディアジオが所有しており、米国を含む世界各地で生産されている(ロシアに工場はない)。ホールツィツャはウクライナのブランドで、米国では「ホール」の名で販売されている。

2022年2月に始まり、今なお続くロシアによる侵略と破壊のため、ホールツィツャの今年の市場シェアは急減すると見られている。

翻訳=的場知之/ガリレオ

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