「このプロジェクトは、ビットコインのマイニングがゼロエミッションの電力インフラに資金を供給し、経済的発展を可能にするという、我々の理論を証明するためのステップだ」と、バックは述べた。施設は今年後半に完成する予定で、テスラの発電システムが生み出す3.8メガワットの電力で、30ペタハッシュ/秒のマイニングを行う予定という。
合計1200万ドル(約15億円)を投じるこのプロジェクトは、2030年までにカーボンニュートラルを目指すというBlockの公約の一環として、2021年6月に発表されていた。Blockは、テキサス州にあるブロックストリームの米国拠点の1つに建設されるこの施設に600万ドルを投資し、ブロックストリームも同じ額を投資する。
カナダのビクトリアに拠点を置くブロックストリームは、2014年に英国人の暗号学者のバックらが共同創業した企業で、ビットコインの取引を迅速にするためのサイドチェーンのリキッド(Liquid)の開発元として知られている。バックは、ハッシュキャッシュを発明した「暗号通貨の父」と呼ばれる人物で、彼こそがサトシ・ナカモトだと噂されたこともある。
ブロックストリームは、マイニングやホスティング関連のサービスも提供している。
8日の発表によると、このプロジェクトは定期的に収支を発表し、電力やビットコインの採掘量などのデータを、ダッシュボードを通じて一般に公開する。開示されるデータには、太陽光発電のキャパシティや蓄電池のパフォーマンスが含まれ、「将来のプロジェクトのためのケーススタディとして役立つものになる」とされる。
ビットコインの採掘は、多大なエネルギー消費で批判されているが、最近ではいわゆる「グリーン戦略」を採用する企業が増えている。マイニング拠点として注目を集めるテキサス州では、HODL Ranchやナスダックに上場するRiot Blockchainなどの企業が、余剰電力を用いた「環境に優しいマイニング」を行っている。
さらに、先日はマイニング最大手とされる上場企業の「マラソン・デジタル・ホールディングス(MARA)」が、現在はモンタナ州の石炭発電所のそばに置くマイニング施設を、「サステナブルで炭素を排出しない電源」の近くに移設すると発表した。