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2022.04.15

CX推進リーダーに求められる「顧客起点の思考」とは?

コロナ禍で社会情勢や市場が予想不可能に変動するなか、顧客が価値を感じるモノ・コトは急速に変化し、同時に多様になっている。こうした状況下において、「すべての顧客接点において優れた体験をどのように提供するか」は、今日の企業の最大の課題であり、関心の対象と言えるだろう。

世界120カ国以上でCRM(顧客関係管理)プラットフォームを展開するHubSpotは、2021年から「CX(顧客体験)」をテーマとしたオンラインイベント「CX Spotlight」を開催してきた。顧客体験を起点に成長し続ける企業となるためのヒントをともに考える機会であり、22年は3月25日に「CX Spotlight 2022」をオンラインで開催した。ここでは、当日のセッションの一部を紹介したい。

グローバルでは、最高顧客責任者(CCO)などCXの向上を専任とする役職や部門の設置が広がっており、こうした動向に関心を示す日本企業は多い。どうすれば顧客志向組織を築くことができるのか。どのような仕組みづくりが求められるのか。課題解決型の人材サービス企業として知られるアデコ・グループ・ジャパンが20年に立ち上げたCustomer Experience推進部 部長の多賀智美に話をうかがう。Forbes JAPANとのスペシャルコラボレーション企画である同セッションでは同誌執行役員 Web編集部 編集長の谷本有香がモデレータを務めた。

優れたCXに画一的な解答はない。CX向上を追求し、成長し続ける企業となるために、何をどのように進めるべきなのか。このセッションはそうした示唆に富んだ内容と言えるだろう。



Adecco Group Japan CX推進部が最初に着手したこと


谷本有香(以下、谷本):まず、Adecco Group Japanが20年に、多賀さんをリーダーにCX推進部を立ち上げた経緯や背景についてお話しください。

多賀智美(以下、多賀):単にCXがマーケットのトレンドだからではなく、コロナ禍でマーケティングが日々変化するなか、人材業界で顕在化していた人口減少や少子高齢の人事課題の解決のために、お客様を深く理解することが求められていたからです。もちろん、これまでも当社はお客様の声を聞きサービスを改善してきましたが、CXに取り組む体制や仕組みはまだ不十分であるという認識がありました。

パンデミック下、人材業界ではより安心安全に働くことができる環境整備、柔軟な働き方に対する意識改革、それを踏まえた人事設計などの新たな課題に直面し、お客様のニーズや課題が複雑化・多様化していました。必然的に私たちには、そうした変化に寄り添うサービス提供が求められます。これもCX推進部設置の背景の一つです。同時に日本が抱える人事課題と向き合う機会にもなりました。

また、Adecco Groupは従業員の行動規範として5つのコアバリューを定めていて、その一つに「カスタマー・セントリシティ」があります。Adecco Groupでは「カスタマー・セントリシティ」は「素晴らしい顧客体験を通じて顧客ロイヤルティを高めること」と定義しており、単にフロント部門が顧客に向き合うための概念ではなく、すべての従業員の行動のベースになっています。

谷本:自分たちが提供したいサービスを提供してきた企業は、カスタマーセントリシティという概念を理解することは難しいですよね。

多賀:私たちは17年ごろからNPS®(Net Promoter Score®)プログラムを導入しています。NPS®は、顧客が単に商品やサービスに満足するだけでなく、それを体験した上で第三者に勧めたいと思うかを聞く、顧客ロイヤルティを測る指標です。ただし、導入してもデータを活用しないと意味がないので、同時に活用の仕組みや組織の体制づくりも必要で、CX推進部はそうした役割も担ってきました。25年に向けた弊社の中期経営戦略でも、CX向上は重要な戦略のひとつに位置付けています。行動規範があるだけでは素晴らしいCXを提供できるわけではなく、その仕組みや体制を構築し、カスタマーセントリシティの文化を醸成していくことが重要だと考えています。

谷本:多賀さんが率いるCX推進部は、まず何から着手したのでしょうか。

多賀:自分たちが提供するサービスに関して、カスタマージャーニーマップをしっかり描いて、自分たちのウイークポイントは何かを分析し、その後の定点観測のためのNSP®調査や仕組みづくりを考えました。何よりカスタマージャーニーをしっかり把握することが重要だと思います。

社内的には、CXをどう考えているか、取り組む重要性をどう考えるか、意識調査から着手しました。そこで判明したのは、想定よりCXに対する理解度が不十分であったこと。私たちは、さまざまな情報発信やトレーニングを通じて、いろいろな部署と対話を重ねた結果、いまでは社内のさまざまな場面でCXやNPS®という言葉が飛び交うようになりました。

谷本:企業文化は顧客起点の価値観で、自然発生するものではなく、経営陣と社員全員でつくりあげていくものだと思いますが、今日つくってすぐに浸透するものではありません。Adecco Groupにはカスタマーセントリシティというコアバリューがあったから、そうした企業文化を短期間で醸成できたと見ることもできますね。

企業が向かう方向性、答えはお客様がもっている


谷本:多賀さんはCX推進を担う人材に必要な要素とは何だと考えていますか。

多賀:CX推進部に求められるのは、顧客の声を分析する能力であり、そこから課題解決につなげるロジカルシンキングの能力。さらに、その解決のためのアクションを、現場とのコミュニケーションを通してリードする能力も必要です。また、「お客様に何を届けたいか」という根底的な熱意をもって取り組むことも重要だと考えています。

谷本:多賀さんがリーダーを務めるCX推進部は他の部署とどんな連携をしてきたのでしょうか。

多賀:着任と同時に私は、CXプロジェクトという全社横断組織を立ち上げました。CXプロジェクトでは、各部門を代表するCXリーダーを選出してもらい、そこに経営陣も加わり、マンスリーでCXコミュニティという場を設けています。各部門のCXリーダーが各部門におけるCX向上アクションを推進する役目を担うとともに、NPS®の調査分析結果に基づくお客様の声や各部門のベストプラクティスなどを共有し、課題解決につなげています。

谷本:これまでの経験を通し、CX推進に取り組もうとしている企業の経営層、リーダー層に何かアドバイスはありますか。

多賀:具体的なCX改善のアクションは、主に現場でお客様に接する部門が主体的に取り組むものですが、会社としてCXの重要性をどう考えるのか、トップからのメッセージングは大事だと思います。多くの企業は上位目標があり、それに基づく部門ごとの目標があるので、上位目標にCXに向き合うための指標があるかは重要だと思います。

谷本:アデコのCX推進部は今後どのような進化をしていくのでしょうか。これからのビジョンについてお話しください。

多賀:「CXマネジメントを当たり前にする」でしょうか。お客様の声を聞いてサービスを改善することは特別なこととしてとらえるのではなく、これまで提供してきたサービスや営業活動を、CXの観点でトランスフォームしていくイメージです。
CXチームのような新しい部門が何か始めようとすると、ほかの部署は何か業務が増えるんじゃないかとか、構えてしまうかもしれない。そういうことではなくて、顧客視点に立って営業活動をもっとよくしていこうという考えに変化できたら、結果として付加価値が生まれて、私たちのサービスの質も上がり、お客様にも喜んでいただける。さらに私たちの成長にもつながる。このサイクルを当たり前にしたいというのが私のビジョンです。

谷本:最後の質問になりますが、ビジネスシーンでCXがもたらす可能性をどう考えていますか。

多賀:マーケットが予測不能に変化するなか、企業側も何が正しい方向性で、どうすればお客様に喜んでもらえるのかを見極めることが難しいのが現状でしょう。私自身は、その答えは間違いなくお客様がもっていると信じています。お客様と共創し、ともにサービスをつくりあげるというビジネスが展開できると、CX向上に取り組む意義が見いだせますし、お客様と向き合うことで信頼関係を構築できるので、社員の働く意義や社会貢献の意識向上も期待できます。私自身、改めて専任の部署でCXに取り組み、お客様の声に耳を傾けることで、新たな発見や気づきがたくさんありました。

谷本:おもてなしの精神や三方よしなど、CXは日本の企業にもともと息づいている概念だと考える経営者もいます。しかし、そうした知見は属人的な能力にとどまりがちで、いかにデータ化して全社で共有するかが重要なのだと感じました。多賀さん、貴重なご意見をありがとうございました。

顧客からの信頼を得るため、企業が意識すべき3つのポイント


先日、HubSpotが発表した調査結果では「ビジネスシーンにおいてあなたはどのような印象をもつ会社のサービスや製品を購入したいと思いますか」という問いに対し、購買意思決定における最重要要素としてもっとも多かった回答は、製品の品質や価格に見合う製品やサービスの提供ではなく「信頼できる企業であること」だった。この結果から、顧客は提供製品やサービスを超え、企業のありかた全体を重視するようになったことが読み取れる。

では、顧客からの信頼を得るために企業はどうあるべきなのか。変化し続ける顧客の「いま」を捉え続け、自社が敏捷に変化する姿勢と、目先の利益にとらわれることなく、顧客が最も価値を感じるものを提供し続けること。つまり瞬間的ではない継続的な顧客体験を提供し続けることが、顧客からの信頼につながるはずだ。最後に、それらを実現するためHubSpotが考える3つのポイントを紹介したい。

ダイバーシティとインクルージョン


例えばHubSpotは、「ダイバーシティ」と「インクルージョン」の重要性を謳い、誰もが自分らしく働ける社会を支持し、実践してきた。多様性のある組織づくりは、多様な社会に暮らす多様な顧客を理解する上でも重要な視点となる。

つながり、連携、集約


さらに同社は、優れたCXの提供には3つのつながりがキーポイントになると指摘する。

まず「社内のつながり」。HubSpot CRMのように、社内の全部門がひとつの統合システムで連携しつながることは、業務効率化だけなく、顧客との接点を最適化しCX向上にも貢献する。

次に「会社と顧客のつながり」。顧客は企業との関係性を一箇所で把握できる手段を求め、あらゆる接点で企業とのつながりを感じたいと思っている。

そして「顧客同士のつながり」。顧客同士のつながりによってコミュニティーに安心感が生まれ企業への信頼が生まれる。さらに、それぞれがお互いから学び合うようになり、製品やサービスを最大限に活用してもらえるようになる。

企業文化


企業文化の明確化と浸透も重要だ。顧客にとって自分たちはどんな存在でありたいのか。どんな関係を築きたいのか。企業文化は顧客起点という価値観の土台である。




(左)多賀智美|アデコ・グループ・ジャパン Customer Experience推進部 部長(右)谷本有香|Forbes JAPAN 執行役員 Web編集部 編集長


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