新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックも3年目に突入し、経済が回復基調にあるとされるなかにおけるこの結果は、憂慮すべきものだ。この調査結果が典型的な米国人を代表するものだとすれば、経済の回復を手放しに喜ぶことはできない。
米国人が考える経済的安定とは
調査によれば、回答者は経済的安定性を象徴するものとして、次の2つをあげた。
・持ち家(男性の58%が回答)
・クレジットカード負債がないこと(女性の59%が回答)
この2つは、経済的習慣の健全さを示してはいるものの、どちらも経済的安定性を意味するわけではない。
持ち家ではなく、賃貸を選ぶ米国人も多い。家を所有しているからといって、経済的に安定しているわけではないのだ。ローンの支払いは高額になることもあり、債務不履行に陥る可能性は常に存在する。持ち家は安定をもたらすかもしれないが、ローンを完済していないかぎり、ほとんどの米国人は、毎月の支払いをしながら物件の価値を築いている状態だ。
同様に、クレジットカード負債がないことは、利子返済のコストを避ける、賢い資産運用術だ。けれどもそれは、単に経済的にマイナスの部分がないというだけであって、経済的に安定しているとは限らない。
個人資産に関するその他の重要情報
調査では、米国人が現在経験している経済状況に関する、いくつかの意外な事実も明らかになった。
・年収15万ドル以上の米国人の79%が、「銀行預金はとても重要だ」と答えた。
・年収6万ドル以上、9万ドル未満の米国人の場合、「銀行預金はとても重要だ」と答えた割合は、54%にすぎなかった。
・平均的な米国人は、経済的な安心を得られるようにするためには、月の可処分所得が686ドル必要だと考えている。
・米国人が退職について考え始めるのは、平均で40歳の時である。
・ミレニアル世代の76%が、預金のかなりの部分を高額の医療費に削られている。また、同世代の57%が、住宅購入の頭金やローンの支払いをしており、それが資産を目減りさせている。