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アフターコロナの世界で働き方はどう変わるのか。オフィス回帰かリモート・ワーク定着か。各企業はいまだ試行錯誤のなかにあるようだ。

さまざまな働きやすい企業ランキングの常連、HubSpotの選択を同社の最高人財責任者(CPO)のケイティ・バークに聞いた。


オフィス通勤ありきの仕事環境が、リモートベースに大きく変わった2020年のパンデミックから約20カ月。ワクチン接種や治療薬開発が進み、感染者コントロールが可能になりつつあるいま、国内外問わず多くの企業は、新たな岐路に立たされている。オフィス通勤へ戻すか、リモート・ワークを定着させるか。21年1月に発表された米PwC(プライスウォーターハウスクーパース)の調査によると、83%の企業がリモート・ワークは成功と答えている一方、エグゼクティブは週3回のオフィス勤務が企業カルチャーに最適と考えていたり、雇用者の87%はオフィス環境は人と人とのつながりを育てるうえで重要と考えていたりするようだ。

顧客管理プラットフォーム(CRM)サービスを提供するHubSpotは、従前からリモート・ワーク・フレンドリーな環境だったが、20年8月より、リモート・ワークとオフィス出社のハイブリッドな働き方へと移行を決めた。社員は①オフィス勤務を週3日以上(@office)、②オフィス勤務を週2日以下(@flex)、③自宅などHubSpotが承認する場所での完全リモート・ワーク(@remote)の3種類から選べ、それぞれの選択に沿った環境整備の支援を受けることができる。このハイブリッド・モデルへの移行は、もちろんコロナ後を見据えた決定であり、同社はパンデミックの状況が改善した後も継続する意向を示している。

世界13カ所に拠点を置き、社員数5,500人のグローバル企業が、どのように企業カルチャーを維持しつつ、フレキシブルな働き方を成立させているのか?HubSpot最高人財責任者(CPO)のケイティ・バークにその秘訣を尋ねた。

自律性は社員に対する敬意の表れ


HubSpotの強さの基盤は社員を信頼し自律性を重んじる企業文化にある。社員は現状の働き方に甘んじず疑問を投げかける。意思決定者はそうした社員と向き合
い、迅速な決定によって組織をアップデートし続けている。そのため、パンデミックによって変化した社員の多様な働き方に対応するリモート・ワークを取り入れても、働き方とその指針にブレが生じることはない。むしろリモート・ワークは「企業文化」に倣っている、といえる。社員一人ひとりがオフィス通勤とリモート勤務のメリット、デメリットを踏まえたうえで、自分自身が「最大の成果をあげる働き方」を選び、デメリットをも改善する施策に取り組んでいる。

「確かにフィジカルに存在するオフィスへ集まることで、素晴らしいアイデアが浮かんだりチームの団結が生まれたりします。しかし、その素晴らしさを過剰評価していないでしょうか?オフィス通勤には、勤務時間などの拘束があり、例えばわが子が学校へ行く前に出勤しなければならないなどの大きな負担を伴います。HubSpotではそうした負担を「摩擦」と呼んでいますが、摩擦が増えれば社員はベストを尽くせません。オフィス通勤しないことのメリットに注目し、社員に勤務時間や場所を選んでもらう。社員の“選ぶ能力”を100%信頼しているのです」(バーク)

オンラインならではの独自の工夫が不可欠


オフィス勤務ではたやすかった「あうんの呼吸」は、リモート・ワーク環境では難しいことは否めない。だからこそリモート・ワークの成功の有無は、オンライン・コミュニケーションをいかに使うかにかかっている。HubSpotはこの点を重視し、Zoom、Slack、email、社内ウィキペディアといったさまざまなコミュニケーション・ツールを、いつ、どのように活用するか探究し常に社員が臆せず発言できる環境を保つことに力を入れてきた。

「企業文化を共有するうえで必要なのは、従業員同士のつながりと帰属意識を醸成することです。どこまで心の壁を取り払い、隠し事のない透明性を保てるかはコミュニケーションにかかっています。グローバルに展開する企業の場合、本社の文化をそのまま支社にコピー&ペーストすると、失敗します。同様にオフィスの文化をリモートの世界へそのままコピーしてもうまくいきません」(バーク)

また、社員全員がHubSpotの製品であるCRMプラットフォームを活用し、顧客関連データや日々の業務にかかわる情報を共有していることも、リモート・ワーク成功の要因となっているようだ。CRMプラットフォームの活用は、製品を使用する顧客の体験を全社員が日々の業務のなかで体験しているということでもある。社員が顧客に向き合う際に大いに役立つことは言うまでもない。


オンラインに集ったHubSpot Japanのメンバー。

社員へのメンタルヘルスケアを重要視


リモート・ワーク環境は、もちろんメリットばかりではない。深刻な問題のひとつは、仕事とプライベートが物理的に混在するため、社員が勤勉なほど、勤務時間外にも働いてしまうことだ。「働いていると証明するためにオンラインでい続けなければならない」と、オーバーワークを続けてしまい、燃え尽き症候群につながりかねない。HubSpotでは、早い段階から社員のメンタルヘルスケアに着手し、さまざまなプログラムを設けてきた。なかでも特記すべきは、21年7月に行われた「全社1週間休業」である。

「HubSpotでは従業員のメンタルヘルス向上を目的に、20年から地域ごとに数日ずつ休業を行いました。しかしそのやり方では結局ほかの地域の社員や顧客とのコミュニケーションが発生し、完全に「オフ」になることが難しいと社員からフィードバックを受け、今回の1週間全社休業に踏み切りました。当社ではもともと従業員は日数無制限で有給を取得できますが、これはその有給に加えて設けた休業期間です。実施した月には営業部門のターゲットも調整しました。結果、社員全員が真の意味で休みを取り、活力を取り戻すことができたと思います」(バーク)

ここでもコミュニケーションの高さ、透明さ、そして思いやりという企業カルチャーの核の要素が生きており、休むことで会社がより一体となっている。この取り組みについては日本の顧客からもポジティブな評価が寄せられたという。

ダイバーシティの面でも相乗効果


社員により柔軟で自由な働き方を与えるリモート・ワークは、ダイバーシティを求めるHubSpotの企業文化にも貢献している。日本の場合、より多くの女性社員やシングルペアレントが勤務し続けられるようになった。広大なアメリカでは、ジェンダーや人種のダイバーシティに加え、地域間ギャップの改善にもつながっている。オフィス勤務が不可能なエリアの住民が都市部在住者と同様のチャンスを得られるようになったのだ。

「顧客は善意をもつ企業から製品を買いたいと思っていますし、社員は世界に貢献するリーダーのもとで働きたいと思っています。そんな人財や顧客が集まることで企業は優良な企業として成長を続けることができます。こうした考え方は、足元の利益だけでなく、企業の長期的な成功のためにも重要なことだと信じています」(バーク)

予測不可能な変化をし続ける環境下、企業が末長く成功するには、より多様な人財と働き方を武器にフレキシブルであり続けることが必要なのだろう。

HubSpot Japan
https://www.hubspot.jp

HubSpotのカルチャーコード
https://blog.hubspot.jp/the-hubspot-culture-code-creating-a-company-we-love


ケイティ・バーク(Katie Burke)◎HubSpot最高人財責任者(CPO)。ベイツ大学卒業、マサチューセッツ工科大学スローン マネジメント スクールMBA取得。HubSpot入社前はAthletes’ Performanceand Core Performanceにおいて、マーケティングおよび企業パートナーシップ部門の部長を務める。在職中、同社はFast Companyの「最も革新的な企業」のひとつに挙げられ、CNN Money やYahoo!、ESPN、The New York Timesなどにも取り上げられた。

Promoted by HubSpot | text by Miki Inamura | edit by Akio Takashiro

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