三井住友カードは「ナンバーレスカード」で対策
クレジットカードのIC化などにより、偽造カードの被害額は減少傾向だが、カード番号を盗用し、不正使用する手法の被害額は、2018年(187.6億円)から2020年(223.6億円)で36億円も増加した。
三井住友カードが500人を対象にアンケート調査した結果によると、不正利用の大半は、クレジットカード会社や銀行を装ってメールを送りつけたり、偽サイトに接続させたりしてカード情報を不正に入手するなどのサイバー犯罪だということが分かる。
一方、カードを盗難してカード情報を不正に入手するといった原始的な手口も未だ発生している状況だ。(参考:https://www.smbc-card.com/mem/hitotoki/solution/survey_abuse.jsp)
こういった不正利用の不安を取り除き、より安全にクレジットカードを利用してもらおうと、三井住友カードでは2021年2月1日から、カードに番号を印字していない「ナンバーレスカード」を発行している。カード表面には、何の記載もなく、裏面には、名前を書く欄と発行日のみが記されているが、お店では、従来のクレジットカードと変わらず使用可能だ。
写真提供:三井住友カード
一方、オンライン決済時には、カード番号や有効期限、セキュリティコードの入力が求められる。そういった時のために開発されたのがスマートフォンのアプリ「Vpass」だ。指紋や生体認証のみでカード番号などを表示できるアプリで、安全面を確保しつつも、便利に利用できるようになっている。
ナンバーレスカードの発行に至った背景には、利用者のクレジットカードに対するニーズの変化があるという。同社の商品企画開発部 部長代理の藤原貫司氏は「これまで高額な商品を購入する場面でクレジットカードは使われていましたが、最近では、スーパーやコンビニなど日常の買い物で利用する人が増えています」という。
今回のナンバーレスカードについては、「お客様に大変ご好評いただき、うれしく思っています。発行までには、番号をなくすという、今までにない取り組みに苦労した点もありましたが、お客様からの反響も大きく、お客様のニーズをキャッチし、具現化できたのだと実感することができました」とし、「これからもさらに安心・安全・便利でお得なキャッシュレスライフが提供できるよう努めたいと思います」と話す。
このほかにも、クレジット業界全体で不正利用の防止に努めている。カードがどこで使われたかは24時間体制でモニタリングされ、不審な動きがあった場合、注意喚起を促す取り組みなどが進められている。
新型コロナウイルスの収束の兆しが見えない状況下ということもあり、非接触型決済の需要は今後さらに高まるだろう。ナンバーレスカードや、磁気ストライプカードの廃止は、キャッシュレス社会の安全性を高める上で必要不可欠といえそうだ。