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若年性大腸がんの患者数がここ数十年、じわじわと増え続けている。しかし、研究者はその理由を解明できていない。一方で、2021年7月に消化器病学ジャーナル「Gastroenterology」で発表された新たな研究では、50歳未満の場合は、ビタミンDを多く摂取すると、大腸がんや前がん病変ポリープの発生予防に効果的である可能性が示された。

大腸がんの患者数は、全体的には減少傾向にある。ただし、50歳未満は例外だ。悲しいことに、人気映画『ブラックパンサー』で主演を務めたチャドウィック・ボーズマンをはじめ、大腸がんが原因で若くして亡くなった有名人のニュースがこのところ多く見られ、若年層大腸がんについての意識が高まっている。

今回の研究論文の上席著者で、米マサチューセッツ州ボストンにあるダナ・ファーバー癌研究所(DFCI)若年性大腸がんセンターのディレクターである、医師(MD)で公衆衛生学修士のKimmie Ngは、「ビタミンDに大腸がんに対抗する働きがあることは、実験室での研究でわかっている」と述べる。「ビタミンD欠乏症はここ数年で着々と増え続けており、それが若年性大腸がんの罹患率増加の一因になっているのではないかと私たちは考えている」

魚や卵、乳製品やキノコ類などを食べることで摂取されるビタミンDは、近年減少している。そうした状況と若年性大腸がんの増加が関連している可能性を対象にした研究はこれまで行われていない。

「ビタミンDを1日あたり300IU以上(ビタミンDを強化した牛乳の場合は、容量240ccのグラス約3杯分に相当)摂取することで、若年性大腸がんの発生リスクをおよそ50%抑えられることがわかった」とNgは言う。

この研究では、「Nurses Health Study II(看護師の疫学研究)」と呼ばれる大規模コホート研究のデータが用いられた。Nurses Health Study IIは、25歳から42歳までの女性看護師を対象に2年ごとにアンケートを実施し、食生活やライフスタイル、医療や健康について調査を行っている。

9万4205人から寄せられた回答を分析し、50歳未満で大腸がんか結腸ポリープと診断された人数を調べたほか、ビタミンDの摂取量を導き出した。その結果、若年性大腸がんを発症した人は111人だった。また、ビタミンD摂取量が多いほうが、大腸がんとポリープの発生リスクを大幅に抑えられることが分析によって明らかになった。

研究では、食生活(おもにビタミンD強化の乳製品)からビタミンDを摂取したほうが、ビタミンDのサプリメントを飲むよりも予防効果が高いことが分かった。しかし、このような結果が出たのは偶然なのか、あるいは、差異があったのにはそれなりの理由があるのかどうか、はっきりとはわかっていない。研究では、ビタミンDの摂取量と、50歳以上の大腸がん発症リスクの関連性を確認することもできなかった。

Ngは次のように語る。「私たちの研究は、ビタミンDが若年層の健康と、おそらくは大腸がん予防に非常に重大な意味を持つ可能性があることをさらに裏づけるものだ。若年性大腸がんと関連性のあるリスク要因を把握することはきわめて重要だ。食生活やライフスタイルについて、確実な情報に基づいたアドバイスができるし、早めに検査を受けるべきリスクの高い人を見きわめることも可能になるからだ」

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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