カロリーの多くは「超加工食品」から。米国の子どもの食の現実

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米国の子どもと青少年は、いまやカロリーの3分の2を「超加工食品」から摂取している。20年間に及ぶ3万3795人の参加者から得た回答を分析した最新研究で明らかになった事実だ。

「ハーバード・ヘルス・ブログ」によれば、超加工食品とは、添加糖類、硬化脂肪、水素化でんぷんなどの食品から抽出した物質でつくられているが、塩、糖、脂質、合成着色料、保存料などの多くの材料が添加されている場合が多い。例としては、チップスなどの塩気の強いスナック、ファストフード、ホットドッグ、インスタント食品、袋入りのクッキーやケーキ、加糖ソーダなどがある。

一方、超加工食品ではない普通の加工食品は、一般に少数の材料からつくられており、缶詰の魚や果物や野菜、焼きたてのパンなどがこれにあたる。未加工または最低限加工した食品とは、生(なま)の食品や、最小限の改変しか加えられていない食品を指す。具体的には、生(なま)もしくは冷凍の果実や野菜、新鮮な肉や魚などだ。

摂取する食事のうち、超加工食品の占める割合が大きくなりすぎると、健康に影響が出るおそれがある。超加工食品の過剰な摂取は、糖尿病、肥満、一部のがんと結びついている。

「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(JAMA)」誌に掲載された新たな研究では、米国国民健康栄養調査の一環として、2歳から19歳までの全米の子どもと青少年を分析した。参加者にそれぞれの食物摂取状況を自己申告してもらい、幼い子どもについては親や保護者にかわりに回答してもらった。

加工の度合いは、必ずしも食品のヘルシーさと直接相関しているわけではないが、超加工食品は一般に、加工の少ない食品に比べると、健康面での利点が小さく、健康への害も大きい可能性がある。

論文の主著者で、マサチューセッツ州のタフツ大学栄養科学政策フリードマンスクールで栄養疫学を研究するFang Fang Zhang医学博士は、「一部の全粒粉パンや乳製品は超加工食品にあたるが、他の超加工食品よりもヘルシーだ。加工をすれば、食品の新鮮さが長持ちし、栄養価の強化や濃縮が可能になり、消費者の利便性も高まる。だが、超加工食品の多くはあまりヘルシーではない。未加工食品や最低限加工した食品と比べて、糖分や塩分が多く、食物繊維が少ない」と話している。

この研究では、超加工食品から摂取されたエネルギーの量が、1999年から2018年までのあいだに61.4%から67%に増加したことが明らかになった。同じ期間に、未加工もしくは最低限加工した食品から摂取されたエネルギー量は、28.8%から23.5%に減少した。

とはいえ、ひとつだけ明るい知見もある。加糖飲料から摂取されるカロリーのパーセンテージが、10.8%から5.3%と、半分以下に減少したのだ。

「子どもやティーンエイジャーにおける(超加工食品の)摂取量増加は懸念材料だ。しかし今回の知見では、加糖飲料の総摂取量を減らすための一致団結した取り組みが、ここ数年で効果をあげていることも示されている」とチャンは述べ、ケーキやクッキー、ドーナツ、ブラウニーなどの摂取量削減についても、同様の取り組みをおこなうべきだと付け加えた。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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