経済・社会

2021.06.14 07:30

なぜ岡崎市の中小企業相談所は、1カ月待ちの人気なのか?

「岡崎ビジネスサポートセンター(通称・オカビズ)」の様子


さらに、空いているロッカーの活用にも取り組んだ。コロナ禍でランニング需要が高まる中、自宅を起点としたランニングコースに飽きる人々が増えている。近隣のランニングマップを制作し、お水・入浴をセットにしたランナー向けランステーションプランを開始すると、こちらも新たな顧客層の拡大につながった。
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費用ゼロの新商品が、完売の大ヒットに


岡崎市にある創業98年の和菓子屋・小野玉川堂の事例も紹介したい。薪と釜で丁寧に炊き上げるあんこが評判の老舗だが、コロナの打撃を受け、昨春の売り上げは前年比で4割ほど減少したという。



相談を受け、我々が注目したのは、巣ごもりやおうち時間を楽しく過ごしたいと考える人々の増加。さらにホットケーキミックスやたこ焼き器の瞬間蒸発現象にヒントを得て、自慢のどら焼きの“皮とあんこを分けたセット”を提案した。
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この「自宅で手作りどら焼きセット」はどら焼きの皮と中身が別々になっており、フルーツやジャムなどを挟んで、自分好みにアレンジすることもできる。



この手作りセットが評判となり、来店客数は前年の1.5倍に増加、売上はコロナ前を超えた。かねてから顧客層の高齢化が課題だったが、この新商品を機にファミリー層の来客が増えたと喜ぶ。

自社がもつものに着目し、市場の大きな変化を捉えた新商品をスピーディーに投入すれば、お金をかけずとも流れを変えていくことは可能だ。

大企業で働く人ほど小さな会社に学ぶべき


こうした事例は、実は山のようにある。そして私は、大企業などで活躍するビジネスパーソンこそ、小さな会社やお店のケースこそ学ぶべきだと考えている。ヒト・モノ・カネ、すべてのリソースが不足している中小事業者の事業展開には、知恵と工夫がつまっているからだ。

オカビズを続けてきて強く思うのは、すべての会社に必ず良いところがあるということだ。そのセールスポイントを活かしながら、いかに顧客やターゲットに届けていくか。この視点は、BtoCでも、BtoBでも、どんなビジネスパーソンでも、変わらず求められる。そんなとき、小さな事例がときに大きなヒントになるのではないかと思う。

文=秋元祥治

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