米アマゾン・ドット・コムは2月2日、ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が2021年第3四半期に退任し、取締役会長に就任すると発表した。
ベゾスは退任発表時に、アマゾンの従業員向けに一通のメールを送った。Forbes JAPANはそれを全文翻訳し、紹介する。
親愛なるアマゾニアンたちへ
今年の第3四半期に私がアマゾン取締役会長職に移行し、アンディ・ジャシーが次のCEOに就任することを喜んで発表します。
取締役会長のポジションでは、新製品や新規事業にエネルギーと注力を注ぎたいと思っています。アンディは社内ではよく知られており、私と同じくらい長くアマゾンにいます。彼は優れたリーダーになるでしょうし、私は全幅の信頼を寄せています。
この旅はおよそ27年前に始まりました。アマゾンは単なるアイデアに過ぎず、名前もありませんでした。当時、私が最もよく聞かれた質問は、「インターネットってなんですか?」というものです。幸いなことに、長い間、そのことを説明する必要はありませんでした。
今日では、130万人の有能で献身的な従業員を雇用し、何億人もの顧客や企業にサービスを提供し、私たちは世界で最も成功している企業の1つとして広く認知されています。
それはどのようにして実現したのでしょうか? 発明です。発明こそが私たちの成功の根源です。私たちは、クレイジーなことを一緒にやって、それを普通のことにしてきました。カスタマーレビュー、1クリック(での購入)、パーソナライズされたレコメンド機能、アマゾンプライムの超高速配送、レジなし決済技術、環境問題に対する「Climate Pledge」宣言、キンドル、アレクサ、マーケットプレイス、インフラクラウドコンピューティング、キャリアチョイス(キャリア選択事業)などを開拓しました。
うまくいけば、数年後には驚くべき発明は普通のものになります。人々は(驚きもせず)あくびをするでしょう。そのあくびは、発明家が受け取る最大の褒め言葉です。
アマゾンほど優れた発明実績を持つ企業は他にはありません。私と同じように、あなたにも当社の発明する力を誇りに思っていただきたいですし、そうすべきだと思います。
アマゾンが大企業になるにつれ、私たちはその規模と範囲を利用して、重要な社会問題をリードすることにしました。影響力の高い2つの例としては、最低賃金を時給15ドルにしたこと気候変動に関する誓約があります。どちらの場合も、私たちはリーダーシップをとり、他者へ賛同を呼びかけました。どちらもうまくいき、他の大企業も協力してくれています。それも皆さんに誇りに思ってほしいと思います。
私は自分の仕事にやりがいと楽しさを感じています。最も賢く、最も才能があり、最も独創的なチームメイトと仕事をすることができています。良い時には謙虚であり、困難な時には、逞しく支えてくれて、お互いに冗談を言い合い笑いあいました。このチームで働けて本当に嬉しく思います。
私は今でもオフィスへ行く時にタップダンスをするくらい、この退任にわくわくしています。何百万人ものお客様にサービスを利用いただき、100万人以上の従業員の暮らしを支えるということ。アマゾンのCEOでいるには、深い責任があり、(体力も気力も)消耗します。そのような責任がを持ちながら、他に注意を向けるのは難しいことです。
会長になることで、引き続きアマゾンの重要な新規事業に従事しながら、Day 1 Fund(慈善基金)、ベゾス地球基金、ブルーオリジン(航空宇宙事業)、ワシントン・ポスト、その他の情熱に時間とエネルギーを持つことになります。これ以上のエネルギーを得たことはなく、これは引退ではありません。私は、これらの組織が与えうるインパクトにとても情熱を注いでいます。
アマゾンは将来に向けて、最高の立場にいます。私たちは、世界の求めに応じるように、エンジンを全開にしています。今後も驚きを与え続けるでしょう。私たちは個人と企業にサービスを提供し、2つの産業を創出し、全く新しいレベルのデバイスを発明しました。アマゾンは、機械学習や物流など様々な分野のリーダーであり、もし新たなスキルを必要とする場合でも、その習得に十分な柔軟性と忍耐力があります。
発明を続けてください。最初はクレイジーに見えても絶望しないでください。さまようことを忘れないでください。好奇心を羅針盤にしてください。今日もまだ「創業初日(Day 1)」です。
ジェフ