同社は、光合成を行う生物である藻類を活用して、バイオプロダクション(バイオテクノロジーを使って生物資源からさまざまな化学品を生産すること)に革命を起こそうとしている。同社は2020年10月20日、独自開発した藻類の合成生物学プラットフォームの商業化を加速させるべく、シードラウンドで325万ドルの資金を調達したと発表した。
創業者で最高経営責任者(CEO)のナスキ・スパントン(Nusqe Spanton)は、「藻類が、まったく活用しきれていない生産システムであることがはっきりしてきている。藻類には、質の高い自然素材を世界に供給できる大きな可能性がある」と話す。
藻類は、バイオプロダクションシステムとして他にはない可能性を秘めている。事実上、どこからともなく発生し、二酸化炭素を取り込んでバイオマスを生み出すからだ。海水で増殖させた藻類を使って、合成生物学を活用した持続可能な発電システムを、ニーズに合わせて得ることが可能となる。藻類を利用した合成生物学の技術が開発されており、そのコミュニティも利用可能だ。
藻類が、発酵によく使われる微生物と比べて後れを取っている点は、製造におけるアップスケーリングとダウンストリーム・プロセッシング(下流処理:天然資源からの生合成)だ。培養の基準となる適正製造規範(GMP)が存在しないうえに、成長の遅い藻類株があれば生産工程が混乱することもある。
会社創業前のスパントンは、17年間にわたって水産養殖業界で働いていた。真珠貝のエサにするための藻類を栽培するうちに、藻類をうまく大量生産するためには適切な条件を整えることがいかに重要であるかを実感した。そしてすぐに、近年の技術的進歩を利用すれば藻類の持つ可能性は広がり、貝類などのエサにするよりもはるかに有益になりうることを知った。
「ハイスループット実験を繰り返して、条件を最適化している。生体内の成長過程などのプロセスに最も適した条件は何かを迅速に確認することができる」とスパントンは言う。