バイオテック分野にスマホ到来に似た衝撃、Time BioVenturesが考える「ポストコロナの世界」

Time BioVenturesジェネラルパートナーのD.A.Wallach氏とTimothy Wright氏(Photo by Stefan Simchowitz)

新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい始めてから、かれこれ3カ月ほどは経っただろうか。最近では新型コロナウイルスに対するソリューションを持った、バイオおよびヘルスケアスタートアップの動きも目立つようになった。

たとえば「KangarooHealth」は4月14日、遠隔で新型コロナウイルス患者のリスクモニタリングと早期トリアージができるサービスを立ち上げた。感染の疑いがある自己隔離状態の人を遠隔モニタリングをし、容態の変化を瞬時に感知、リアルタイムで患者の重症度に基づいて、治療の優先度を選別する「トリアージ」をおこなう。

新型コロナウイルスのワクチン開発に、細胞にタンパク質生産の指示を与えるメッセンジャーRNAワクチンを活用しようとしている「Greenlight」は5月12日、1700万ドルの資金調達を発表した

私たちの健康な生活に欠かせないプロダクト開発を目指す企業への出資が増えている印象だ。急速に世間の目が集まった市場に投資マネーが集まっている。その中でも注目のベンチャーファンドが登場した。

米国ロサンゼルス拠点、バイオ・ヘルスケア企業特化のファンド「Time BioVentures」である。ジェネラルパートナーにはD.A.Wallach氏とTimothy Wright氏が名を連ねる。

Wallach氏は本田圭佑氏とWill Smith氏が立ち上げた「Dreamers Fund」でベンチャーパートナーを務めた。「Spotify」「SpaceX」「Box」を筆頭に、名だたるスタートアップの投資実績を持つ。Wright氏はBill Gates氏が立ち上げた「Gates Ventures」の科学顧問として活躍し、製薬会社「Novartis Pharmaceuticals」のグローバル製薬開発担当も務めた。

スタートアップ投資と製薬業界の専門家が組み合わさったファンドがTime BioVenturesだ。今回、Wallach氏とWright氏に電話取材をする機会を得た。なぜこのタイミングで始動したのか、どのような投資方針で活躍していくのかなどを聞いた。
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文=福家 隆

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