「やくざまがいの男だよ、あいつは。人のことなど屁とも思っちゃいねえんだ」。フォーブスが19年10月に行ったインタビューで、27歳になったばかりのラッパーは、トランプ大統領をそう評してみせた。
21サヴェージはフォーブスの「30 UNDER 30 2019」に選ばれ、「2020」においては音楽部門の審査員を務めてもいる。この若者は“ドリーマー”と呼ばれる、幼少時に親に連れられて米国にやってきたことで不法移民となった推計3600万人の人々のひとりなのである。
そんなドリーマーのなかでも80万人近くが、軍務経験、高校卒業、犯罪歴なしといった条件のいずれかを満たすことで、オバマ前大統領の「幼時不法入国者送還猶予措置」(DACA)の救いの手にかかってきた。ところがトランプ大統領はこの措置の廃止を望んでおり、「年端もいかないとは呼べない」、「彼らは筋金入りの犯罪者集団だ」などと言い放ったのだ。
ドリーマーはフォーブスの「30 UNDER 30」にも名を連ね、アルムナイ(卒業生)の集団が“ドリーマー・チーム”と呼ばれるまでになっている。
「私たちを『金の卵』だと知らずに葬り去ろうとしているが、それは無理だと悟るべきです」「どうせしくじるに決まってるさ、という世間の決めつけを跳ね返すように、私たちは確実に成功を重ねています」、そう語るサラヒ・エスピノーサ・サラマンカもドリーマーのひとりで、「30 UNDER 30 2016」に選ばれた現在30歳の女性だ。「医師、教師、弁護士、エンジニア、起業家というような人の羨む地位に続々と就いています」。