「休校は休暇ではない」? 各国オンライン学習事情
髙崎:フランスは3月半ばの外出禁止令の際、「休校は休暇ではない」と政府が学習の継続を発表して、学級担任主導のオンライン学習がスタートしました。その後、外出禁止令の解除と同時に、1クラス15人まで、国の定める衛生基準を守ること、などを条件に通学再開が許可されました。再開の決定は自治体に委ねられており、私の在住地の小学校では、週2日は通学授業・残りの2日はオンライン学習と二本立てになっています。
中野:シンガポールは3月の段階で学校がオンライン対応を始めていて、まず4月の頭に週1オンライン授業にするという週が1週間ありました。できるだけ休校は回避したかったようですが、そのすぐ後「サーキットブレーカー」が導入されたので、そのタイミングで公立学校は完全にオンライン授業へ切り替えになりました。
その後、サーキットブレーカーが実質5月中まで4週間延長になるという発表があった際、例年はもともと6月にある1カ月のターム休み(1月はじまりで、3・9月に1週間ずつ、6・12月に長期休みがある)を5月に前倒しました。6月2日からは幼稚園や卒業試験を控えた最終学年などはフルで、その他の学年は1週間ごとにオンラインと通学が交代で学校が再開されました。
髙崎:オンライン対応がスムーズでも、やはり対面授業ができる登校再開を目指すものなのですね。
2週間分の大量宿題プリントが━━(ニュージャージー)
小西:私が暮らすニュージャージー(NJ)、隣接するニューヨーク(NY)州では3月の中旬から一斉休校(閉鎖)になりました。長女が通う小学校の担任の先生からは事前に「自宅にWi-Fi環境はあるか。子どもが使えるパソコンやタブレットはあるか」を尋ねる緊急メールが保護者に一斉に送られてきました。案の定、その日の夜、郡(カウンティ)当局が翌2週間の休校を即座に決めました。
アメリカの小学校で出された2週間分の宿題プリント。英語のリーディングやライティング、算数、サイエンス、アート、音楽など各科目の課題がどっさりと与えられ、こなすので連日精一杯
登校最終日の金曜日には、2週間の大量宿題プリントに加え、オンライン学習で使うアプリやサイトを案内するぺーパーを渡されました。決定から実施までの日数があまりにも短く、学校側としても、最初から完全オンラインとするには準備時間が足りなかったため、最初の2週間は、プリント学習とオンライン学習の併用にならざるを得ませんでした。
フランスのシェアサイト(toutemonannee.com)
髙崎:我が家の子どもたちも、休校して最初の3日分くらいは、封筒にまとめて配られたプリントの課題を解くスタイルでした。その後、民間企業が運営する学童向けのコミュニティプラットフォーム(toutemonannee.com)に各担任がクラスコミュニティを開き、課題はそこ経由でシェアされるようになりました。答案は担任にメールで送付し、それに対する先生のコメントもメールで返信される形です。
中野:我が家も息子のインターは最初の数日は録画動画のみで、ライブ配信が始まるのには少し時間がかかりました。ローカル校はもともとE-Learning Dayというものが年に数回あるそうで、教材などを共有するプラットフォームもある程度できあがっていたこともあり、切り替えは比較的スムーズだったと思います。