コロナ後も「絶対にデータ分析はやめてはいけない!」初動の悔い、第2波の教訓に

アルベルトの松本壮志代表取締役社長


──新卒も含めてデータサイエンティストが200人弱もいるそうですが、日本でそのような人材を集めるのは至難の技です。

人材には非常に力を入れている。優秀なデータサイエンティストは業界を問わず、競争率が高い。これだけ枯渇しているデータサイエンティストを効率よく採用できている秘訣は2つあると思う。一つは、内部のデータサイエンティストの稼働率は75-80%が適正だと割り切っている点だ。

私も若い頃、コンサルティングファームで稼働率は150%という状態で働いていたが、それをデータサイエンティストに求めてしまうと技術をインプットする時間がなくなってしまい、中長期的には会社の技術が陳腐化していってしまう。そのため80%はプロジェクトに入って、残りの20%は自己研鑽や社内の論文の輪読会などに充てて、常に最新の技術にキャッチアップできるようにしている。

また、アルベルトが特定技術、特定産業に依存していないというのが、データサイエンティストとって魅力となっているようだ。例えば自動車メーカーに行くと、自動運転分野等その業界に関する経験しかできない。しかし当社では、例えば1年間は金融セクター、その次は金融セクターの知識を持ちながら違うセクターのデータを触ることができ、他ではできない経験が積める。

──どのようなバックグラウンドの学生が多いのでしょうか。

東大、京大の出身者は多い。学部では理工系が多く、文系はそこまで多くなかったが、大学の授業もデータに取り組むカリキュラムが増えて随分変わってきており、ここ数年は文系出身者も増えている印象だ。大体、6:4で理系、文系という形。さまざまなバックグラウンドのデータサイエンティストが集まりノウハウを共有することで、新たな知識や見方も得られる。

──今後、公共セクターに進出する考えはあるのでしょうか。

我々は重点産業として自動車、金融、製造、通信、流通・インフラを掲げているが、今後、公共セクターも重点領域に含めることを検討している。クラスター班の話があってから、別の省庁からも相談を受けるようになった。そのほとんどが未整備のシステムに関するもので、カタリスト戦略で培った技術が使え、ニーズは多分にある。

※第1回は、『民間のデータサイエンティストが見た「驚きの内幕」、厚労省の接触データ分析』



まつもと・たけし◎ALBERT代表取締役社長。2003年にワールドインテックに入社、IPOを経験し、事業再生/新規事業立案等のプロジェクトを手がけた後、10年にM&Aを通じて金融コンサルティング会社の代表取締役に就任。その後、デジタルハーツホールディングスの取締役COOとして経営戦略部門を担当。17年8月にALBERT代表執行役員に就任し、18年3月より現職。1980年生まれ。

文=成相通子 写真=帆足宗洋

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