昨年は世界中で反腐敗運動が躍進を遂げたにもかかわらず、今回の調査では非常に多くの国において、問題解決の取り組みでほとんど、あるいは全く改善が見られないことが分かった。腐敗は、多額の金が選挙活動に自由に流れることが可能で、政府が富裕層や広い人脈を持つ人の意見にしか興味を持たない国で広く見られる傾向にあった。
調査対象国はそれぞれ、0(非常に腐敗が進んでいる)から100(腐敗がなく、とてもクリーン)までで評価された。その結果、3分の2以上の国はスコアが50未満と評価され、世界平均は43となった。世界で最も汚職が少ない「クリーン」な国とされたのは、それぞれ87のスコアを収めたデンマークとニュージーランドだ。その後には、フィンランド、シンガポール、スウェーデンが続いた。
公共部門での腐敗の認識レベルが特に高かった国は、ソマリア、南スーダン、シリアで、スコアはいずれも15未満だった。
過去8年で大幅な改善を記録した国は22カ国のみで、21カ国では大幅に悪化した。ギリシャやガイアナ、エストニアではこの間に大きな進展が見られたが、カナダやニカラグア、オーストラリアでは大幅に状況が悪化している。日本のスコアは73で、180カ国中20位となった。
米国のスコアは69だった。昨年に比べてスコアは2ポイント低下し、フランスと同率23位だった。調査によると、これは米国にとって過去8年間で最低のスコアだ。現在は、米国人の政府への信頼度が歴史的に低い水準に達し、同国は多くの課題に直面している。
こうした課題には、抑制と均衡のシステムへの脅威や、政府内で特別利益団体の影響が増していること、犯罪者や腐敗した人、さらにはテロリストまでもが違法な活動を隠すため匿名のペーパーカンパニーを使っていることなどがある。
同報告書は、トランプ政権のスキャンダルや関係者の辞任、非倫理的な行動を取った疑惑などにより、金を払わないと輪に入れない「ペイ・トゥー・プレイ」の文化が米政府にさらに定着しただけだと述べている。
トランスペアレンシー・インターナショナルのデリア・フェレイラ・ルビオ議長は「各国政府は、政党の資金繰りの中の多額の腐敗資金や、それが私たちの政治体制に及ぼす不当な影響などに至急対処する必要がある」と述べた。同報告書は、この状況に対処し、政治への信頼を回復するためさまざまな対策を講じることを推奨している。
その中には、政治資金繰りの管理の厳格化や、利害対立のより効果的な管理、選挙の公正性の強化などが挙げられる。また追加の推奨事項として、ロビー活動の規制強化や、優遇措置に対抗するための仕組みの構築、さらには市民の自由や政治的権利の保護水準の引き上げなどが含まれる。