一部のアナリストらはこの分野の競争を、初期のウーバーとリフトに例えるが、Postmatesの共同創業者でCEOのBastian Lehmannは、この分野は配車サービスとは異なると述べている。
「フードデリバリー分野の戦いは、動画ストリーミングに例えるべきだ」とLehmannhは話した。ウーバーとリフトらはプロダクトで差別化を行っていないが、ストリーミング企業らはコンテンツを差別化要因としている。
人々はお気に入りの映画やコンテンツを見るために、ネットフリックスやHuluなどのプラットフォームを選んでおり、複数のサービスを契約する人も珍しくはない。一方でストリーミング各社は、人気コンテンツの獲得に莫大な費用を支払い、新規顧客を獲得しようとしている。
Lehmannによるとフードデリバリー分野でも類似した傾向が高まっており、人気のレストランとの独占契約の獲得が、重要な差別化要因になりつつある。
Postmatesはここ1年、ロサンゼルスの人気レストランのSweetfinや、ピザチェーンのBlazeと独占契約を結んだ。同社はさらに、野球ファンを取り込むためにドジャース・スタジアムやヤンキー・スタジアムと提携し、試合中にデリバリーで食事が頼めるようにした。
「今ではLAでの注文の20%近くが、Postmatesが独占契約したレストランのものだ」とLehmann saysは話した。この数値は1年前には1桁台だったという。
ウーバーイーツやドアダッシュ、グラブハブも同様な取り組みを進めている。グラブハブは、以前よりも顧客らのロイヤリティが低くなったことを認めている。「以前はグラブハブの利用者は、他の企業を利用したことがない人々だったが、今では他のプラットフォームと併用する人が増えている」とグラブハブの広報担当は述べた。
ストリーミングにおいても、フードデリバリーにおいても大切なのは顧客を魅了するコンテンツの拡充だ。グラブハブもPostmatesやドアダッシュにならい、独占レストランを増やそうとしている。上場企業であるグラブハブはなんとか黒字を維持しようとしているが、競合らはいずれも赤字で、ベンチャーキャピタルからの資金で運営を続けている。
ウーバーもまだ黒字化を果たしていない。
Postmatesは今年初め頃までは2019年に上場する計画だったが、IPO市場が冷え込む中で、現在はその計画を撤回した。ただし、Lehmannは「適切なタイミングがやってくればIPOに踏み切る」と述べており、そのための十分なキャッシュの用意もあるという。
今年9月にPostmatesは2億2500万ドルを調達し、企業価値は24億ドル(約2600億円)とされていた。