「Journal of Science」が2015年、192の沿岸国を調査したところによると、海洋プラスチックごみの大きな原因となっている上位20カ国のうち13カ国はアジア諸国(特に中国、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナム)だった。しかし、多くのことに言えるように、数だけでは全てを伝えることができない。
科学情報サイト「Our World in Data」の研究者ハンナ・リッチーと創業者のマックス・ローザーによると、セントルシアの小さな島で生じるプラスチック廃棄物の1人当たりの量はカリブ海諸島中6番目で、プラスチックごみの廃棄量が絶対量で世界一の中国の4倍以上だ。また、セントルシアで不適切に廃棄された1人当たりのプラスチックごみの量は、中国の1.2倍に当たる。
1人当たりのプラスチックごみの廃棄量が高い上位30カ国のうち、10カ国はカリブ海諸国だ。トリニダード・トバゴ、アンティグア・バーブーダ、セントクリストファー・ネビス、ガイアナ、バルバドス、セントルシア、バハマ諸島、グレナダ、アンギラ、アルバの10カ国は、毎年2万機のスペースシャトルの重量を超えるプラスチック廃棄物を出している。
最もプラスチック廃棄物の量が多いのはトリニダード・トバゴで、1日に1人当たりなんと1.5キログラムのプラスチックごみが出ている。この数値は世界最大だ。同国では不適切な処分により、1日に1人当たり少なくとも0.19キログラムのプラスチックごみがほぼ確実に海に流入している。その結果、トリニダード・トバゴを起源とした1人当たりの海洋プラスチックごみは2010年、世界の国の98%よりも多かった。
問題の根底にあるのは不十分な廃棄物管理だ。世界銀行は、調査対象となったカリブ海諸国で収集されずに終わるプラスチックごみは毎年32万2745トンほどと見積もっている。その結果、22%の家庭がごみを水路や水路に流れ着く可能性のある土地に廃棄している。国連環境計画(UNEP)の2014年のデータによると、世界の海洋ごみの中で陸地を発生源とするものは平均80%だが、カリブ海ではこれが92%だ。
非政府組織(NGO)のParley for the Oceansは今年7月、ドミニカ共和国沖に恐ろしいほどのプラスチックごみがある様子を撮影し、動画を共有した。動画では「3日間にわたる清掃活動の結果、30トン以上のプラスチックを回収したが、まだやるべきことは多い」という説明が表示されていた。