中国以上の経済成長に期待できる国、上位はフィリピンとインド

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今後10年間の世界経済の成長をけん引するのは主に、中国ではなくインドとフィリピンになるだろう。

調査会社オックスフォード・エコノミクスが今年発表した「世界の経済成長に影響を及ぼす新興経済国」のランキングによれば、中国はトップ10に入った国のうち、4位だった。一方、3位までに入ったのは、上位から順にインド、フィリピン、インドネシアとなっている。

報告書をまとめたルイス・クジュスはインドとフィリピンに関して、「これら2カ国については、基本的に同じことが言える。まだどちらも比較的貧しい。つまり、(その他の国に)追いつく非常に大きな潜在力があるということだ」と説明する。

両国は、中国がすでに達した「中所得国のわな(新興国の所得が中程度に達した後、経済成長が鈍化する状態)」 に陥っておらず、新興国が安い労働力の不足に直面する「ルイスの転換点」にも達していない。

調査の結果は、各国の経済状況を適切に反映したものだ。「多くの国は、不適切な政策や政治的な不安定性のために、潜在力が未開発のままだ」という。

「それでもフィリピンとインドはここ数十年で、一定程度の貯蓄と投資資金を確保するために、また都市化と都市部の雇用創出によって(一部には製造業の成長によって)実現される全要素生産性の向上のために、最低限必要な経済環境を整えることができた」

ただ、フィリピンの場合は貯蓄の増加を外国からの送金に大きく依存している。経済情報サイトのトレーディングエコノミクスによれば、同国の主な外貨預金の源となっているのは外国からの送金であり、その金額は2018年には、過去最高のおよそ284億ドル(約3兆円)に達している。

一方、マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)が2018年に発表した調査結果でも、汚職やインフレ、暴動などが成長を阻害しない場合という条件付きで、向こう10年以上にわたって持続的な成長を維持する十分な準備ができている国として挙げられたのは、インドとフィリピンだった。

新興経済国にとって、数十年またはそれ以上にわたって成長を持続することは、最大の課題の一つだ。MGIが調査対象とした71の新興経済国のうち、1人当たりGDPの伸び率が過去50年で3.5%以上、または20年間で5%を記録、数百万人が貧困から抜け出したなどの経済成長に関する基準を満たしていたのは、18カ国のみだった。

このリストに名前が挙がったのは、中国、マレーシア、インド、ベトナム、エチオピア、ウズベキスタンなど。インドとフィリピンは入っていなかった。1960年代に高い伸び率を記録したフィリピンの経済成長は、汚職、インフレ、暴動といったよくある問題によって中断されていた。インドもまた、成長が停滞した時期があった。

それでも、クジュスはフィリピン、そしてインドの今後について、楽観的だ。

「どちらの国も依然として、課題に直面している。向こう10年間の世界経済の状況も、過去の10年間ほどに期待できるものにはならないかもしれない。それでも、継続的な貯蓄の増加と生産性の向上によって、成長は今後10年間も比較的急速に進むと考えられる」

編集=上田裕資

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