今回の人事で、以前からウーバーの配車部門とイーツに対する直接的関与を深めたがっていた、CEOのダラ・コスロシャヒの権限は増すことになる。「当社は今、組織の合理化を進め、新たな未来に乗り出すタイミングにある」と彼は社内向け文章で述べた。
ウーバーの前CEOのトラビス・カラニックは経営上のバランスの観点から、COOを採用するよう求められていたがそれが実現することはなかった。カラニックからCEO職を引き継いだコスロシャヒが、自身で採用したのがハーフォードとメッシーナの2人だった。
ハートフォードは2017年12月にウーバーCOOに着任した。しかし、翌年7月には彼が人種差別的発言を行ったとして、社内で調査委員会が立ち上がった。調査の結果、差別の事実はなかったとされたが、それ以来ハートフォードは実権を失うこととなった。
社内向けメモでコスロシャヒは今後、経営への関与を高めていくと宣言し「ウーバーは今、社内的にも社外的にも、以前より優位なポジションにある」と述べた。
コスロシャヒはここ2年の間、社内カルチャーの再構築に務め、規制当局との問題に直面するロンドンや世界の拠点を頻繁に訪れた。今回の組織再編にあたり、彼は2012年にウーバーに入社したアンドリュー・マクドナルドをグローバル部門の責任者に任命した。さらに、コミュニケーション主任のJill Hazelbakerの配下でマーケティングやポリシー部門の再構築を進めていく。
5月10日に上場を果たしたウーバーの株価は、IPO価格を下回る一株45ドルで取り引きを開始以降、低迷が続いている。同社は第1四半期の決算で10億ドルの損失を計上した。今回の2人の辞任を受けて、ウーバーの株価は時間外取引で1%以上の下落となった。
Wedbush SecuritiesのアナリストのYgal Arounianは「ウーバーがその場しのぎの対策をやめて、組織改革に乗り出した点は評価できる」と述べた。
「幹部の辞任により投資家らはショックを受けた。しかし、問題を先送りせず、このタイミングで決断を行ったコスロシャヒの姿勢は前向きに捉えるべきだ」とArounianは指摘した。