カラニックに代わりセレモニーに出席したのは、2017年8月にカラニックからCEOの職務を引き継いだ現CEOのダラ・コスロシャヒだった。
しかし、2014年の中国のアリババ以来で最大のIPOとされる、調達額81億ドル、評価額824億ドルの今回の上場で、ウーバーの創業者らは巨額の富を得ることになった。
ここでは、ウーバー株のIPO価格である45ドルを基準に、同社の上場によって創業者や出資元が得た利益を推測してみる(ウーバー株は上場初日に7.6%安の41.57ドルで取引を終えたため、実際の評価額は記事中の額を下回っている)。
トラビス・カラニック:推定資産54億ドル(約5900億円)
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2009年にウーバーを設立したトラビス・カラニックは2015年、同社にとって上場は「中学生が高校の卒業パーティーに出るようなものだ」と述べ、早すぎると話していた。その後、2016年にカラニックは彼が同社に招き入れたアンソニー・レバンドウスキーが、アルファベット傘下のウェイモの自動運転技術を盗み出したという訴訟に直面した。
また、2017年にはカラニックが部下を引き連れて、韓国ソウルの性的接待を行うバーを訪問したと報じられた。ウーバーには社内のセクハラ問題も持ち上がり、カラニックは一連の不祥事の責任をとる形で2017年6月に、ウーバーの経営から退いた。
しかし、その後もカラニックは取締役会に残り、ウーバーの上場から巨額の富を得ることになる。彼は持ち株の一部を放出しているが不動産関連の投資や、新たに立ち上げたクラウドキッチン企業「City Storage Systems」への投資を考慮に入れてフォーブスは、彼の保有資産額を54億ドル(約5900億円)と推定している。
カラニックはIPOに際し、370万株のウーバーの株式を売却し30%の税引後1億1800万ドルを得ているが、現在もウーバーの発行株式の6.7%を保有している。
ギャレット・キャンプ:推定資産41億ドル
ウーバーのアイデアの原型であるウーバー・キャブ(UberCab)を発案したのが、ギャレット・キャンプだ。連続起業家として知られる彼は、そのアイデアを思い立った当時、既にStumbleUponを売却し巨額の富を得ていた。
キャンプはウーバーの役員会ではほとんど仕事をしていない。彼はソフトバンクがウーバーに出資した2017年まで一切、ウーバーの株式を放出しなかったことで、守銭奴と呼ばれてもいる。
キャンプは現在、スタートアップスタジオのExpaを運営している。同社はプライベートエアラインからデジタル銀行まで、あらゆる領域の新興企業の育成を手がけている。彼はまた、ソーシャル検索アプリのMixでStumbleUponの成功を再現しようとしている。
キャンプはウーバーのIPOにあたり、310万株の持ち株を売却すると報道された。売却で手に入れる額は税引後で、9800万ドルに達すると試算された。