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2019.05.30

海外で規制が進む電動キックボード 日本でも事業者が立ち上がった

マイクロモビリティとして注目される電動キックボード(gettyimages)

「ファーストワンマイル、ラストワンマイル」として注目される電動キックボード。だが、海外で関連事故が多発し、波紋が広がり、規制を進める国も多い。日本国内では、安全を確保するために新たなルールづくりをしようと、電動キックボードの事業者4社が立ち上がり、マイクロモビリティ推進協議会を設立した。

協議会会長は、電動キックボードのシェアリングサービスを手掛ける「Luup」の岡井大輝CEO。第一衆議院議員会館で開かれた協議会には、国土交通省や警察庁の担当者や国会議員らも出席した。岡井は「将来的に高齢者や観光客の足として電動キックボードを活用できるように安心・安全を確保していきたい」と挨拶した。

Luupは、2019年4月、国内で初めて自治体(浜松市、奈良市、三重県四日市市、東京都多摩市、埼玉県横瀬町)と連携協定を結び、新しい公共交通として電動キックボードを用いた実証実験を始めることになった。


電動キックボードに関わる事業者でつくる協議会の岡井大輝会長(右)

このほかの参加企業は、AnyPay、Zコーポレーション(ヤフーグループ)、mymeritの3社。

AnyPayでは、決済や投資、ブロックチェーン事業を行なっているが、新しく電動キックボードのシェアリング事業「mobby」の立ち上げに動いている。2018年末に福岡市主催の実証実験フルサポート事業に採択され、福岡市内のイベントで試乗会を開くなど、ユーザーの声を集めている。高島宗一郎市長は、国家戦略特区会議で規制緩和を求めるなど、電動キックボードの推進に積極的だ。

現行では原付免許が必要

現在、日本では電動キックボードは「原動機付自転車」に分類され、いわゆる原付免許が必要だ。海外ではどうだろうか。

Luupによると、米国サンフランシスコは18歳以上で運転免許証が必要だが、シンガポールでは16歳以上(ただしウェブサイトから登録が必要)、ドイツでは14歳以上なら運転免許がなくても乗れるという。

速度制限については、サンフランシスコは時速約24km、シンガポールは時速25km、ドイツは20kmと、各国・エリアによってばらつきがある。

岡井は「実際には時速25〜30kmほど出てしまうので、日本では20km以下にした方が良さそうだ」と見解を示した上で、今後、協議会でも議論していく。

電動駆動のため、将来的にはGPSで走行位置を検知してエリアによって速度を制限したり、走行記録から急加速や蛇行など危険運転を検知したりする安全制御システムの構築も可能だという。

電動キックボードは自転車より体積が小さく、地面に足を着けたら停車する仕組みだが、急勾配や足場が悪い道には不向きと言える。協議会では、自主規制体制の構築のほか、安全運転指導の基本方針を決め、政策提言にも繋げる。

文、写真=督あかり

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