以下に、ランスタッドUSAが新たに行ったマネジメントに関するアンケート調査の結果を紹介する。同調査は、テクノロジーが職場に与える影響に関するものだった。
私がマネジメントの視点から見て、調査によって重要な問題として浮かび上がったと感じた点は3つある。だが考えてみると、これらの問題はそう意外なものではない。こうした問題は、大きな利益をもたらすものの(慎重にならなければ)マネジメント感覚を鈍らせることもあるツールを使用してきたことによる自然な成り行きだ。
以下に、その3つの主な問題を見ていこう。
・対立に対処するためにデジタルコミュニケーションを利用する
対面、あるいは少なくとも電話を使って対立に対処しようとしないことは、深刻な問題だ。調査では、職場での対立に対処するために「対面あるいは電話での話し合いではなく」デジタル手段を使用すると回答した管理職は56%に上った。
対立の効果的解決は、リーダーシップスキルの中でも最も重要(かつ最も不快な)もののひとつと言える。対立解決の能力は、磨く努力をしなければ強化されない。対立の回避は、管理職として(ひいては人間として)いたって自然な癖ではあるものの、非生産的だ。問題解決を電子メールやテキストメッセージで済ませようとすることは、管理職としての責務を果たしていないだけでなく、真剣な感情的議論から生まれ得る生産的な協調の機会を逸す行為だ。
・テクノロジーにより、戦略的な思考よりも即時の行動が促される
これも、テクノロジーが行動に与える影響を考えると、そう意外ではない。今や数クリックで簡単にメッセージを送受信できてしまい、じっくり考える時間はあまりない。前出の調査では、管理職の79%がテクノロジーは「即時の行動を促す」と感じていた。行動に偏重することがマネジメントにおいて良い結果をもたらすこともあるが、思慮の欠けた行動ばかり取ることは最善策ではない。
私が企業のマネジメントに関わっていた頃は、その日のうちに全てのメッセージに返信しなければというプレッシャーを(時に自分自身から)かけられていた。私はよく、ただ手元を片付けたいという理由だけでメールや留守電をさばいていたものだ。私の対応はとても「戦略的だった」だろうか? 時にはそうだったろう。しかし、ほぼ常に「速かった」とは言える。
・仕事中の私的利用
これはマネジメント感覚の鈍化を招くというよりも、対処すべきマネジメント上の問題(誘惑?)を引き起こすものだ。調査の回答者のうち、ジェネレーションZのほぼ半数(47%)が、ミーティング中に携帯電話でメールをしたことがあると認め、60%が「就業中に個人的理由でテクノロジーを使用する」と回答した(一方でベビーブーマー世代ではこの割合は22%だった)。
言い換えると、これらは管理職がしっかりと気を配り、適切な監視能力を持つべき生産性の潜在的問題だ。私が企業人だった頃、自分が目をかけていた隣の部署の聡明な若手社員が、ビジネスとは無関係なウェブサイトを数カ月間で2万5000回も閲覧していたことが発覚した。彼はすぐに解雇を通達されたと記憶している。