投票を後押しした推進派団体「ディクリミナライズ・デンバー(Decriminalize Denver)」は、幻覚キノコに含まれるサイロシビン(シロシビン)に中毒性は認められず、米国で近年問題化したオピオイド依存症やうつ病の治療に役立てられると主張していた。
その結果、5月8日18時の時点で脱犯罪化への賛成票は8万9320票、反対票は8万7341票で、僅差ながら賛成派が多数となった。選挙管理委員会はツイッターで「投票結果は5月16日に認定を受けるまでは、正式なものではない」と述べたが、FOXニュースは「わずかな差で脱犯罪化が決議された」と伝えている。
コロラド州は2012年に米国で初めて住民投票で大麻を合法化した2州のうちの1州で、今回の投票結果次第で同州が再び薬物の合法化において最前線に立つとみられていた。
サイロシビンは米国の連邦法においては違法薬物に指定されている。米国麻薬取締局(DEA)は現在、マジックマッシュルームをヘロインやLSDと同列の「スケジュール1」の違法薬物に指定しており、危険で中毒性があるとみなしている。
しかし、脱犯罪化を推進するグループはDEAのサイロシビンに対する認識は誤りだと主張する。昨年、精神薬理学ジャーナル(Journal of Psychopharmacology)に掲載された論文で、この薬物がうつ病の治療に有効であるとされ、それに続く神経薬理学的な分析においても、サイロシビンをスケジュール1ではなく、多くの睡眠薬や抗不安薬が分類されるスケジュール4に位置づけるべきだと指摘された。
2017年に英国の団体Global Drug Surveyが実施した調査で、マジックマッシュルームは世界的に広く利用されている娯楽的薬物の中で、最も安全性が高いとされた。
ディクリミナライズ・デンバーは次のように主張した。「いくつかの研究結果によって有効性が示されているものの、サイロシビンを正式な医療ケアに用いる決定を下すのは時期尚早かもしれない。しかし、副作用がさほど起こらず限定的であることは専門家も指摘しており、サイロシビンは多くの人々に有益な効果をもたらす」
今回の脱犯罪化の決議により、デンバー市政府は21歳以上の成人のサイロシビンの所持や使用に刑罰が適用できなくなる。さらにこの決議は、市が法改正の影響に関する調査委員会を立ち上げ、2021年までに報告書を提出することを定めている。