これはもっともな悩みだ。人は「試しに応募してみようか? やってみたい気もする。面白そうな仕事だし。でも、自分と相手の時間を無駄にするだけかも。あるいは、経歴が全然足りないと笑われ、ばかにされてしまうかも……」と思うものだ。
この点について、人材紹介会社ロバート・ハーフが興味深いアンケート調査を実施した。直感だけでなく、確かなデータに頼れることはありがたい。調査の結果自体も、明確な内容となっている。結論から言うと、募集要項を完全に満たさなくとも、その仕事に興味があり大体の条件を満たしているなら、応募する意味はある。
とはいえ、ドラマ「グッド・ドクター」が好きだからといって、外科医の仕事に応募できるわけでは当然ない。だが、一部の条件を満たさなくとも、その仕事に適性があると言えるなら、挑戦しないべき理由はほとんどない。
以下に、アンケート調査の主な結果を紹介する。
・企業に届く履歴書のうち、42%が募集要項を満たしていない
・従業員の62%が、条件を満たさしていない仕事の内定をもらえた
・人事責任者の84%が、トレーニングでスキルを伸ばせる従業員の採用に前向き
この「トレーニング」が重要なポイントだ。手の込んだ正式な人材開発プログラムがもはや存在しない企業が多いとしても、個人の管理職レベルでは多くの場合、通常の入社プロセスの一環としてのトレーニングには肯定的だ。
学ぶ意志
では、条件は満たしていないがやる気のある求職者が、勝算を高めるにはどうすればいいだろう? 私はこの点について、ロバート・ハーフのポール・マクドナルド専務取締役に聞いた。彼の回答はこうだ。
「可能なら、職務内容に書かれている非技術的スキルやソフトスキル、例えばリーダーシップや協調性、柔軟性、ビジネス感覚などについて、応募書類上で強調すること。履歴書を粉飾するとか、本当でないことを並べ立てるということではなく、自分の経験がその仕事に相応しく、競争の激しい今の市場での強みとなり得ることを、しっかりと考え抜いて伝えるということだ」
「学ぶ意欲やポジティブな態度はとても役立つ。これは選考プロセスの間、心に留めておいてほしい。雇用主は、仕事をしながら成長し、学ぶ意欲のある候補者を探している。たとえ全ての条件を満たせる技術的スキルを持っていなくても」
マクドナルドの言葉は、私には良い助言に思える。私は今回の調査結果を、自身のマネジメント経験に当てはめられる。私は長年に渡って多数の人を採用してきたが、その人が持っているとみられるスキルと書面上の要件が一対一で合致しているかどうかを逐一確認したことは一度もないと思う。一方で、明るさや楽観的姿勢といった、形のない人的資質については常に注意深く見てきた。
マクドナルドが簡潔に指摘してくれた通り、学ぶ意欲とポジティブな態度は大いに役立つのだ。