AI領域でも急伸のイスラエル、約1100社が年間2500億円を調達

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イスラエルのテクノロジー領域では、AI(人工知能)関連のスタートアップが存在感を増している。テルアビブ本拠のスタートアップ支援組織「Start-Up Nation Central」の調査で、2018年のAI関連企業の資金調達額やプロダクトのリリース件数が、大幅に上昇したことが確認された。

イスラエル本拠のAI企業は2014年に512社だったが、2018年の末には1150社まで増えた。これらの企業にはAIのコア技術を開発するものや、ヘルスケアやセキュリティ、自動運転にAIを活用する企業が含まれている。

さらに、世界的な大手テック企業も、AI分野で大きな役割を果たした。インテルはイスラエル南部の都市、キルヤット・ガトの半導体工場に110億ドルを投資することを発表し、ハイファのテクニオン・イスラエル工科大学にAIセンターを新設するとアナウンスした。

2018年は大手企業のAIプロダクト開発に、イスラエルのR&D拠点が重要な役割を果たした年でもある。グーグルのDuplexや、IBMのDebater、マイクロソフトのHealthcare Botなどだ。また、インテルと共同でAIチップ開発を進めるエヌビディアも、10月にイスラエルにR&Dセンターを開設した。

Start-Up Nation Centralのデータでは、イスラエルのテック系企業6673社の17%が、AI関連の事業を行っている。また、イスラエル企業が調達した資金の合計額の37%が、AI領域に注がれていた。

2018年にイスラエルのAI関連企業が調達した資金の総額は、22億5000万ドル(約2500億円)に達していた。これは、2014年の5億1600万ドルの3倍以上の金額だ。また、同じ年にデジタルヘルス関連の企業が調達した資金の総額は、5億4300万ドルに達したが、この分野の企業の85%が何らかのAIテクノロジーを活用している。

AI領域で際立った額を調達した企業としては、小売業向けのコンピュータービジョンを開発するTrax Image Recognitionや、AIプロセッサを開発するHabana Labs、エッジデバイスにディープラーニングを提供するHailo、ディープラーニングをサービスとして提供するAllegro.AIなどがあげられる。

Allegroの新規出資元には、韓国のHyundai Motor傘下のHyundai CRADLEや、サムスンのCatalyst Fundらが加わった。

2018年はAI分野のエグジットが相次いだ年でもあった。AIベースのマーケティング分析ソフトを提供するDatoramaは、8億5000万ドル(約947億円)でセールスフォースに買収された。また、バーチャルな栄養士サービスを提供するNutrinoも1億ドルと伝えられる金額でMedtronicに買収された。さらに、コンピュータービジョンのBriefCamも、9000万ドルでキヤノンに買収された。

翻訳・編集=上田裕資

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